くらし 連載市民インタビュー 人生のへそは逗子にあり

身の回りの人々や地域の環境、そして自分自身を信じ認めて前向きに生きる市民に、このまちで生きる意味を聞きました。

■逗子の貴重な文化資源をつないでいく
逗子の文学を学び広める会 代表
東海 邦彦さん(新宿)

文学に関心のある市民が集まる「逗子の文学を学び広める会」。昨年、約1,250項目におよぶ「逗子ゆかりの文学年表」を作り上げ、公開した。会の代表を務めるのが東海さんだ。

▽多彩で豊かな逗子文学に魅せられて
徳冨蘆花や国木田独歩、泉鏡花など、後に文豪と呼ばれる作家たちが青春時代を過ごした逗子。詩人の高橋睦郎さんをはじめ、今もなお活躍中の作家が多く居住している。「50年ほど前、逗子に移り住んだ頃から気になって、ゆかりの文学の資料を少しずつ集めてきた」と話す東海さん。この多彩で豊かな文化資源をつないでいきたいと、関心のある人たちに相談し2022年に会が発足した。
明治中期からの近現代文学を図書館資料などからひもとき、各メンバーが追加調査。集まった情報の検討を重ね、細かい編集作業を経て「逗子ゆかりの文学年表」の形が整った。「作品の説明や引用、逗子の主な出来事など時代背景も盛り込み、楽しんでもらえる年表になりました」。

▽誰でも参加できる“生きた年表”を
昨年4月、市制70周年記念事業の市民企画として、編集中の年表を公開し市民から文学情報を募る展示会を開催。「メンバーが知らなかった地元ならではの情報も集まった」と振り返る。その情報を精査し年表に反映、昨年末1回目の更新を行った。これからも定期的に更新する予定だ。年表は、市と市立図書館のホームページにもリンクされており、「誰もが閲覧でき情報の反映もできる。そんな“生きた年表”を目指したい。ぜひ、いつでもお持ちの情報や意見を寄せてほしい」と呼び掛ける。
今後は年表を活用し文学散歩や作家の話を聞く会など、逗子の文学を楽しむ活動にも力を入れたいという。

▽逗子の文化と風土を大切にしたい
「海も山もある穏やかな逗子の風土と歴史。横須賀線開通を契機に訪れる人が増え、別荘文化など創作活動に適した環境が育まれたのではないか」。東海さんは、そう分析する。「貴重な文化資源の継承や逗子の風土を生かしたまちづくりなど、これからもお手伝いできれば」と話す。