くらし 【新春対談】文化芸術を楽しむまちに(1)

市では、市民の皆さんの文化芸術活動を応援するため、イベントの開催や施設整備など、「文化芸術の聖地づくり」に力を注いでいます。今回は、市内出身のアーティスト・井上純さんと、シンガーソングライター・NakamuraEmiさんを迎え、厚木の思い出や文化芸術の魅力などを語り合いました。

・厚木市長 山口貴裕
・シンガーソングライター NakamuraEmiさん
・アーティスト 井上純さん

市長:新年あけましておめでとうございます。市民の皆様におかれましては、輝かしい新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。今回は、国内外で活躍されている井上純さんとナカムラエミさんをお招きし、話を伺いたいと思います。

■緊張とワクワクの場所
市長:ここ文化会館は1月にリニューアルオープンします。文化会館での思い出はありますか。
井上:僕は父親の職場がここだったので、幼い頃からよく来ていました。小学生の時、自分の絵が友好都市の中国に行く作品に選ばれて、その展示会を地下で見た記憶もあります。ワクワクしながら来たんですけど、中国の同じ年の子の書がものすごく達筆で、びっくりしました。
ナカムラ:私は初めて人前に出る経験をしたピアノの発表会の会場がここで、本当に緊張しました。ダンスの発表会や読書感想文で入賞した時の表彰式もここで、うれしさと緊張する思い出が入り交じっている場所です。
市長:私も中学生の頃、TUBEのコンサートを親と見に来たのを覚えています。工事期間中、井上さんは仮囲いに絵を描かれていましたね。
井上:今は暮らしやすい世界になっていますが、反対に自然との距離が離れているんじゃないかなという疑問があります。仮囲いには山・川・海という普遍的な自然を描きました。改めて、みんなが自然に思いをはせることが必要なのではと思って。
市長:ナカムラさんは以前もこのステージに立たれ、今年もワンマンライブを開催されるそうですね。
ナカムラ:私の音楽活動に直結しているのが、厚木で育った言葉や、人との出会いです。今回のライブで、家族や友だち、いろいろな人にお礼を伝えたいです。そして初めて見てくれた方にも「ちょっと明日頑張ってみようかな」と思ってもらえたら、厚木への恩返しや、これからも頑張る意思表明ができるかなと思っています。

■人と自然が近いまち
市長:厚木での経験が創作に生かされることはありますか。
井上:実家の裏が山で、幼い頃は兄や近所の友達と川で釣りしたり、山に秘密基地を作ったり、自然に触れて育ちました。自然からのインスピレーションを大切にして描いています。厚木で育ったからこういう作品になっているのかなと思います。
ナカムラ:私の家の近所も田んぼだらけで、山や川に囲まれて育ったことが今の自分を作っていると大人になって気付きました。歌詞には厚木の人や景色がいっぱい出てきます。ジャズライブやライブハウス、飲食店でいろいろな人に出会い、新しい文化にたくさん触れたことも表現につながっています。
市長:今回、井上さんには市制70周年のキャッチフレーズ「未来へ一歩 つながるあつぎ 70年」をテーマにした作品を描いていただきました。
井上:作品は白黒とカラフルな絵を合わせて、一つになっています。白黒の方に今の時代、暗いニュースや辛いこと、ネガティブなことがある中でも力強く生きていこうという思いを込めています。カラフルな方は生き生きとした、子どもたちだけでなく大人たちも楽しむ、明るい未来を、希望を込めて描きました。
市長:井上さんが、音楽が流れる部屋で無から絵を描く姿を見て感動しました。
ナカムラ:作品の黒が本当に印象的です。「黒って怖いな」「苦手だな」と思っている子も、純さんの作品に触れたら、「黒って楽しいんだ」って世界が広がるのかなと感じています。
井上:ありがとうございます。
市長:作品は2月3日から市役所本庁舎に飾らせていただきます。ナカムラさんは、シティプロモーションの一環でオリジナルの楽曲「MICHIKUSA」を手がけられました。
ナカムラ:私はずっと厚木に住んでいますが、仕事で全国を回って厚木を客観的に見て、ふるさとのことを話したような歌詞ができました。自然もあり、暮らしやすいこのまちで、子どもたちが失敗したり、怪我したり、けんかしたりと、たくさん遠回り、道草、寄り道しながら大人になり、そういった経験がすてきな宝物になったらいいなと感じています。
市長:歌詞に246号線や田んぼも出てきて厚木を感じました。「大人は自分に旅をさせよ、己耕せ、夢に泳げ」というフレーズが印象的です。
井上:「大人が変わっていこうぜ」って思いが強く歌詞に出ていて、お尻をたたかれる気持ちになりましたね。
市長:市内で撮影した映像にナカムラさんの楽曲を乗せた動画を、市の公式YouTubeなどで公開します。多くの皆様に聴いていただきたいです。