- 発行日 :
- 自治体名 : 新潟県新潟市南区
- 広報紙名 : 南区役所だより「みなみ風」 令和7年6月1日号
このコーナーは「かぼちゃ電車保存会」が愛するかぼちゃ電車について紹介します
今回はかぼちゃ電車を語る上で欠かすことのできない人物、岸由一郎(ゆういちろう)氏について紹介します。
岸氏は、かつて東京・神田にあった交通博物館(後に鉄道博物館)の学芸員として勤務する傍(かたわ)ら、個人でも廃線によってばらばらになりがちな地方鉄道の資料や車両の保存活動に全国を駆け回っていました。
かぼちゃ電車もまさに岸氏の尽力によって救われた車両の一つです。新潟交通や当時の沿線自治体にその価値と意義を訴え続けた結果、車両のみならず駅舎や多くの関連資料までが貴重な「地域の宝」として残されることになりました。
2008年、岸氏は保存活動のために訪れていた宮城県で地震による土砂崩れに巻き込まれ、35歳の若さで帰らぬ人となりました。しかし、その思いは今でもかぼちゃ電車に息づいています。
最近、資料整理を進める中で、岸氏が遺(のこ)した手紙や記録が数多く見つかりました。その一つ一つに目を通すたびに、保存活動とは単なる「モノの保存」ではなく「人の想いの継承」でもあるのだと、あらためて強く感じました。
-かぼちゃ電車保存会 会長 平田 翼さん