健康 砺波総合病院から

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■乳がんの手術前や後に行う抗がん薬治療中のケア~頭皮冷却法について~
化学療法室
がん看護専門看護師
がん化学療法看護認定看護師
山田 裕子

◇がん薬治療における脱毛について
抗がん薬は毛包(もうほう)(毛の根元)に損傷を与え、治療の開始から約2週間後に脱毛が起こります。「がん治療によるからだの症状のつらさ」を調査した大規模な研究では、乳がんに罹患(りかん)した女性のつらさを上位20位まで示しており、1位は頭髪の脱毛、2位は乳房切除、6位・7位は眉毛(まゆげ)・睫毛(まつげ)の脱毛と続きます。当院のアピアランス(外見)ケア外来においても抗がん薬による脱毛の相談が多くを占めています。

◇頭皮冷却法とは
抗がん薬の治療中に専用の機器を用いて頭皮を冷却することです。当院の乳腺センターでは、昨年の5月から乳がんの手術前・後の方を対象に、頭皮冷却法を実施しています。

◇頭皮冷却法のメリット・デメリット
頭皮冷却法のメリットは、冷却によって毛包周囲への血流を減少させることで頭髪の脱毛が軽減されることです。また、治療が終了した後の再発毛が促進されるといわれています。デメリットは、まったく髪が抜けないわけではありません。また頭皮を冷却することによる寒さ(個人差があります)などがあります。寒さは最初の10~15分が最も不快であるとの報告もあります。医師や看護師がこれらについて説明し、頭皮冷却法のメリット・デメリットを理解した上で、実際に行うか否かを患者さん本人に決めていただきます。

◇頭皮冷却法のケアの実際
頭皮冷却法のケアは化学療法室で行います。髪の毛を濡らし、専用のキャップを装着して、抗がん薬の投与前30分、抗がん薬投与中、投与後90分間、継続して頭皮の冷却を行います。冷却終了後は帰宅できます。看護師は、3時間から5時間に渡る長時間の頭皮冷却の間、安全に安心して過ごしていただけるように、特に寒さへの対応について細かな配慮を行っています。

◇おわりに
頭皮冷却法を受けられる際は、抗がん薬治療の費用の他に、頭部冷却に使用するクーリングキャップの購入が必要となります。また、1回の治療毎に別途費用がかかります。乳がんの治療を受けられる方は、ご自身のからだやこころ、金銭面や仕事、社会面において、多くのことを短期間で決定しなければならない時があります。そんな時、看護師は一番身近な伴走者として決定を助けるお手伝いをします。そして決定を支えます。どうぞ、身近な看護師に不安や心配事をご相談ください。頭皮冷却法の詳細につきましては、外来Bブロックにある乳腺センターまでお問合せください。

問合せ:砺波総合病院
【電話】32-3320