- 発行日 :
- 自治体名 : 福井県福井市
- 広報紙名 : 広報ふくい 2025年10月号
Q.北庄城はなぜここに築かれた?
A.足羽川と北陸道が交わる交通・経済の中心地として信長が目を付けたから!
・北庄城下の推定復原図
・現在の地図
※詳しくは本紙をご覧ください。
◆福井平野の地形から
北庄は、周辺よりも標高が高く、水害の影響を受けにくい場所でした。これは、長い年月をかけて、東から流れてきた足羽川が足羽山にぶつかり、流れを北に変えながら氾濫を繰り返した結果、土砂が堆積し自然堤防が形成されたためと考えられます。足羽川と旧吉野川の合流地点にあるため、川の利用や舟運にも便利で、足羽山の恵みも享受できる場所でした。
古代には、足羽山の東側を南北に伸びる道路(北陸道)が整備されたと考えられ、この場所は昔から陸路と水路の結節点として重要な場所だったと思われます。
◆信長の戦略的選択
北庄は、中世にはすでに川沿いの港として経済的に発展し、交通・水運の要衝として軍事的にも重要な拠点になっていたと考えられます。戦国時代に一乗谷を拠点に越前を治めた朝倉氏も、ここに城館を建て、一族の北庄氏(朝倉土佐守家)に支配させていました。
信長が越前を支配するようになってから、北庄は城塞都市へと変わりました。城づくりの技術が進み、一乗谷のような「山城」でなくても、高い石垣や水をためた堀で城下町を囲むことで、平地の北庄にも堅固な「平城」を築けるようになったためです。
交通・水運の要衝であることは、都市としてのさらなる発展が望める上、信長と対立する加賀の本願寺勢、その先の越後の上杉勢との戦いに備える点からも有利でした。
◆[オススメ!]安土にも劣らない美しく壮大な城
文献によれば、北庄城は青く美しい石(笏谷(しゃくだに)石)をふいた屋根と、「九重」とも言われるほど大きな天守を持ち、安土にも劣らない立派な城だったとされています。戦場の強者でありながら、まちづくりにも長け、たった8年で福井市の礎を作り上げた柴田勝家。彼の統治がもっと長く続いていたらどうなっていただろうと想像がかき立てられます。
語り部ふくい 三好照子さん
◆天下の奇橋 九十九橋
九十九橋は、北陸道と足羽川が交わる地点に架けられ、古くは北庄大橋と呼ばれました。勝家が北庄城主になってから南側を石、北側を木で架け替えたとされ、当時としては画期的でした。石と木を組み合わせた構造の珍しさから、江戸時代には奇橋として知られ、葛飾北斎の絵や文献に描かれるなど全国的にも有名でした。架け替えにより形を変えながら、現在も福井市の陸上交通を支えています。
◇命日に現れる 首なし行列
勝家の命日である旧暦4月24日の夜には、首のない人々が馬に乗って九十九橋を渡り、その行列を見た人は死ぬという伝説があります。人々はこれを、非業の死を遂げた勝家とその家臣団の亡霊だと信じたそうです。この話が現在まで伝承されていることが、福井の人々にとっての勝家の存在の大きさを物語っています。
◆琵琶湖を囲む信長の城との類似性
勝家が北庄に城を築いたのは、信長の指示によってでした。実は、信長が滋賀県の琵琶湖周辺に築いた重要拠点である坂本城、長浜城、大溝城には共通点があります。(1)交通・水運の要衝で、城下に街道を引き込み、軍港を整備していること、(2)平城で、水に面して高い石垣を築き、本丸を構え、天守を建てていることです。
これらの拠点は、商業の活性化や物流体制の整備を通じて、将来の戦いに備えた物資の補給などの充実を図ったものとみられ、北庄城も同じ要件を満たしていることが分かります。また、北庄城天守が「九重」と伝えられるような巨大なものだったとすれば、信長が全国統一の拠点とした安土城に似た、見る人々を圧倒する天守だったのかもしれません。
築城からわずか8年で焼失した幻の城・北庄城。その姿は、今では伝承や他の城との比較から類推するしかありません。しかし、その見えない歴史が、私たちのまちのルーツへの想像をいっそう豊かにしてくれます。
その後、結城秀康によって築かれた新たな北庄城(福井城)と城下町の整備を経て、北庄は福井市街地へと発展しました。私たちの足元には、先人の知恵と想いが刻まれています。まちを歩いて、歴史の痕跡をたどってみてはいかがでしょうか。
◆[オススメ!]秀吉が見た北庄の景色
賤ヶ岳の戦い後、秀吉は足羽山の天魔ヶ池に陣を構え、北庄城を攻撃しました。今は木々に覆われていますが、当時は眼下に炎上する巨大な城が見えたのでしょう。自然史博物館の屋上から市街を一望すれば、歴史の情景が目に浮かびます。北庄城址(じょうし)を見た後は、足を延ばして足羽山に行ってみてはいかがでしょうか。
語り部ふくい 和田敬四郎さん
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◆北庄築城450年記念
◇福井・北庄築城450年記念講演会
戦国時代史研究の第一人者である小和田哲男氏と小和田泰経氏を招いた記念講演会を開催します。申込など詳細は本紙p.13をご覧ください。
◇まちなか定時ガイド 特別コース
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450年前に始まった北庄城と城下町の建設が、現在の福井市街地の形成につながっています。まちの歴史は私たちの個性であり、財産です。歴史から未来のヒントを学び、次世代に誇れるまちをつくっていきましょう。
福井市長 西行茂
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