- 発行日 :
- 自治体名 : 福井県勝山市
- 広報紙名 : 広報かつやま 令和7年8月号No.849
■手根管(しゅこんかん)症候群について
JCHO福井勝山総合病院
副院長(整形外科) 北野 慎治
「手根管症候群」は、正中神経が手首の手根管の中で圧迫されることで起こる病気です。
◇症状
手のひらから指先までのしびれ、痛み:夜間や明け方に症状が強くなることが多いです。しびれの範囲は親指・人差し指・中指・薬指の先端から手のひらまでです。小指は決してしびれません。
母指球の萎縮:症状が進行すると、親指の付け根の筋肉(母指球筋)が痩せてきます。そうなると縫い物やボタンがけなどの細かい作業がしづらくなります。
◇原因
手根管は、骨のトンネルに横手根靭帯が蓋をかぶせる形になっており、内部を通過する正中神経を守っていますが、この横手根靭帯が肥厚して正中神経を圧迫してしまうために手のしびれが生じます。靭帯が肥厚する原因として、以下のものが挙げられます。
・使いすぎ…パソコン作業、スポーツなど、手首動作の繰り返し。
・妊娠・出産・閉経…妊娠・出産・閉経などで女性ホルモンのバランスが変化すると横手根靭帯が肥厚することがあります。
・その他…糖尿病・甲状腺機能低下症・関節リウマチや、透析なども手根管症候群のリスクとなります。
◇治療
手根管症候群の治療法は、症状の程度や原因によって異なります。
妊娠・出産に伴う場合は授乳期間が終了すると自然に軽快することが多いですが、その他の場合は以下の治療法があります。
安静:手の使いすぎを避け、手首を安静にする(夜間装具なども有効)
内服薬や注射:痛みや炎症を抑えるための薬の服用や、手根管内にステロイド注射など。
これらの保存治療が奏功しない時には手術治療が必要となる場合があります。
手術:横手根靭帯を切開し、神経の圧迫を解除します。(親指の筋肉が痩せて来た場合には、早期に手術が必要となる可能性があります。)
手根管症候群かな?と心配な方は、最寄りの医療機関にご相談ください。