しごと 【第3特集】新しい挑戦の輪が広がる スタートアップ支援拠点

スタートアップとは、革新的なアイデアや技術を活用し、急成長を目指す若い企業のこと。
山梨県は、有望なスタートアップの誘致や創出、育成を図るべく、さまざまな手厚い支援策を実施しています。
その一環として、拠点となる施設が11月にオープンしました。

一歩足を踏み入れると、木の温もりとグレーのコンクリートが調和するスタイリッシュな空間が広がっていました。甲府市川田町に新しくオープンしたスタートアップ支援センター「愛称・CINOVA(チノバ)(知の場)」。一時は取り壊しの話もあった県立青少年センター旧本館が、思い切った全館リノベーションによって現代的でおしゃれな空間に生まれ変わりました。2階のラウンジにはカフェも併設され、初めて訪れる人もホッと落ち着く空間となっています。
「CINOVA」という愛称には、「知が交わり、新たな価値を創出する場所」という思いが込められています。起業家、支援者、地域の人々が垣根なく集い、語り合い、共に創り上げることで山梨から次々とイノベーションが生まれる“共創”の舞台を目指しているのです。

2025年11月5日に開所式がありました。出席した長崎知事は「個人であれ企業であれ、さまざまな面でのチャレンジ、新しいイノベーションの創造に県は大きな価値を置いています。挑戦する皆様を支える、ある意味での“梁山泊”のような交流の場にしたい。ここで気付きを得たり、新たな知見を見いだしたりできる場所になればと思っています」と力強く宣言。集まったスタートアップにエールを送りました。
県のスタートアップ支援は、他県にはない手厚い伴走型サポートが特徴です。先輩実業家として開所式に登壇した株式会社オキサイド(北杜市)の創業者、古川保典代表取締役会長は「起業当初は分からないことだらけで、会社が成長するときにもさまざまな問題に直面します。100回以上、県の支援窓口に相談しましたが、ここまで親身に伴走してくれるのは山梨だけ」と語ります。
施設を単なる箱で終わらせるのではなく、人、情報、志が交差し、新たなチャレンジが生まれる“結節点”にしていくことで、ここを起点に、これからさらなる挑戦の輪が広がっていくはずです。

■こんなに多機能です!
5階建てのCINOVA。4・5階に11室設けられたオフィスに、県が伴走支援してきた有望な企業が順次入居します。コワーキングスペース(Photo01、02)や会議室、ウェブブース(03)、カフェ・ラウンジ(04)に加え、シェアキッチン、配信ブース、ものづくりスタジオ(05)など、多彩な設備が整っています。カフェや芝生広場に隣接したテラスのある2階はイベントスペースにもなり、100人規模の催しも可能です。単なるシェアオフィス、コワーキングスペースの枠を超えた、知の交流拠点として、大きな期待が寄せられています。
※詳しくは本紙をご覧ください。

■入居・利用企業が描く未来
◇偶然の縁から動き出した夢の実現
株式会社ジザイエ代表取締役CEO 中川純希
株式会社ジザイエ(東京都千代田区)は、東京大学の研究室から生まれた独自の高圧縮映像伝送技術を強みとし、重機などの遠隔操作に活用されている映像プラットフォーム「JIZAIPAD」を開発・展開。大容量の映像データも驚くほど軽快かつ高速に送信できる点が特長です。
代表取締役CEOの中川純希さんは、同社と山梨県の縁についてこう語ります。「創業して間もない頃、たまたま甲府で山梨中央銀行主催のイベントに参加したんです。そこで県の方々から技術の需要や今後の可能性について多くのご意見をいただき、自分たちの取り組みに自信が持てるようになりましたし、その流れで出資も受けることができました。山梨県は僕たちにとって最初の応援者だと感じていますし、あのご縁がなければ今のジザイエはないと思います」
県内で製造パートナーを見つけたのを機に、本格的に新拠点を構えることに。「今後は県内企業と連携しながら事業を拡大し、県内雇用の創出にも貢献したい。いわば、県内で作って県内で利用していただき、県内で修理して現場にまた戻す“地産地消モデル”を構築したいです」と、意欲を見せていました。

◇地球に優しい“里山のお茶”を山梨から発信
株式会社アイクリエイト代表取締役 粟田あや
CINOVAには充実した厨房設備を備えるシェアキッチンがあり、「ぜひ利用したい」と語るのが株式会社アイクリエイト(東京都渋谷区)代表取締役の粟田あやさんです。
粟田さんが着目したのが“里山のお茶”。再生型農業に取り組む生産者の茶葉や松葉を丁寧にブレンドしてお茶作りに挑みます。「まずは手に取ってもらい、そこから環境や取り組みに興味を持ってほしい」と、飲むことが学びを促し、環境保全につながるお茶のストーリーを発信しています。お茶の開発・生産は、県内の就労支援施設やカフェと連携しながら進めているとのこと。今後は「ここのキッチンを活用して、お茶のペアリングや試飲会などのイベントも開催したいです」と展望を話してくれました。

問い合わせ先:スタートアップ・経営支援課
【電話】055-223-1544【FAX】055-223-1564