- 発行日 :
- 自治体名 : 山梨県
- 広報紙名 : 山梨県の広報誌ふれあい 特集号 秋 vol.86
子どもの数が減り続けているにもかかわらず、不登校児童生徒の数は増加の一途です。
県は「誰ひとり取り残さない」ことを目指して全ての子どもたちに学びを保証します。
そのために、さまざまな支援策を展開しています。
■新たに始まった主要支援策
◇フリースクール利用助成事業で経済的負担を軽減
令和5年度、山梨県内の不登校児童生徒数は小学校788人、中学校1401人、高等学校138人の計2327人にのぼりました。不登校の原因はさまざまですが、児童生徒に学習機会を提供することを揺るがせにできません。
今年度から、県として初めてフリースクール利用への助成事業を開始しました。この制度は、生活困窮家庭(就学援助や生活保護受給世帯)のフリースクール利用料を県と市町村が補助するものです。
県の補助上限は1人当たり月額1万5000円で、市町村の補助が上乗せされるので保護者の経済的負担を大幅に軽減できます。
この事業には、不登校によって保護者が仕事を辞めたり転職したりせざるを得なくなることをできるだけ防ぐ側面もあります。また、子どもたちがどこの機関ともつながりを持てないまま家にいることがないようにして、義務教育段階で何らかの学びの場とのつながりを維持します。
◇スクールソーシャルワーカーを大幅に増員
スクールソーシャルワーカー(SSW)は、家庭と医療機関や福祉機関をつなぐ重要な役割を果たします。県内には現在、15人のSSWが配置されていますが、県は大幅な増員を進めます。配置のねらいは何でしょうか。
いじめ、暴力行為といった児童生徒の問題行動や不登校の背景には、児童虐待や貧困といった家庭環境などが複雑に絡み合っています。こうした学校だけでは解決が困難なケースは増えるばかりです。SSWの増員によって学校の負担が軽くなれば、先生たちはきめ細かな指導に専念することができます。
◇早期発見・早期対応の取り組み
各学校では、子どもたちからSOSを出せるような教育を徹底するとともに、教職員がそのSOSに気付き丁寧に対応できるよう取り組んでいます。
県内の多くの学校では、1人1台端末を活用した心の健康観察アプリを導入。これは、朝の時間に「今日はこんな気分」「先生に相談したいことがある」といったことをボタン1つで表現できるシステムで、見逃しがないよう丁寧に対応しています。
◇官民連携で支援体制を強化
県は、行政関係者とフリースクール関係者による連携会議を年3回開催しています。今年度からは、従来別々に開いていた会議を統合し、同じ場で情報交換を行う体制に変更。子どもたちの様子や学校との連携の在り方などについて話し合い、より効果的な支援を模索しています。
■新たな学びの場創出へ
◇ICTを活用した学習支援も検討中
県では、フリースクールなどでICT(情報通信技術)を活用した課題解決型学習を試行的に実施する調査事業も行います。プログラミング学習などを通じて、子どもたちの新たな学びの機会創出や興味関心の発掘に向けて、不登校児童生徒の効果的な学びの方法を検証します。
多様な学びの選択肢を用意し、一人一人の子どもが自分らしく成長できる環境づくりを、県全体で進めています。
◆お気軽にご相談ください
不登校などで悩んだ際の相談窓口は、表のとおりです。(本紙参照)
不登校は決して恥ずかしいことではありません。家庭内で抱え込んで悩むのではなく、気軽に相談してみてください。
問い合わせ先:特別支援教育・児童生徒支援課
【電話】055-223-1789【FAX】055-223-1759
