くらし [特集]手話がつなぐ心(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県塩尻市
- 広報紙名 : 広報しおじり 令和7年2月号
本市が手話言語条例を施行してから、まもなく3年が経過しようとしています。今回の特集では、言語としての手話の歴史や現状、当事者のインタビューなどをお届けします。
◆当たり前のように手話を学べる時代へ
かつての日本では、耳の聞こえない人・聞こえにくい人(ろう者)への対応が十分とは言えませんでした。手話自体に対する指導法の開発や、手話を使用した教育方法の研究が十分ではなかったことなどにより、ろう学校においても、手話ではなく音声言語による指導が中心的でした。
聞こえる人たちが当たり前に日本語を学んで使用するように、ろう者たちも日常生活で自由に使える言語として、当たり前に手話を学ぶということ。この背景には、ろう者たちが社会的に自由に生きたいという願いがありました。
◆令和4年に塩尻市手話言語条例を施行
全国的に「手話言語法制定を求める意見書の提出を求める請願」の採択が広まった平成25年。翌年の26年に、本市でも塩尻市聴覚障害者協会から市議会に請願が提出されました。その後、同協会や手話サークル、塩尻市派遣通訳者の会などのメンバーを中心とした勉強会などが開催。この勉強会での意見を基に、令和2年に「塩尻市手話言語条例推進協議会」が発足。協議会で具体的な検討や必要な手続きなどの準備を進め、3年12月に塩尻市手話言語条例が市議会で可決され、4年4月1日から施行されました。
この条例は、手話を必要としている人がいつでもどこでも手話を使い、聞こえる人と聞こえない人が共生できる地域共生社会づくりを目的にしています。条例により手話の理解や活用が広がることはもちろんですが、住民に最も身近な基礎自治体からの強いメッセージとして、国に「手話言語法」の制定を呼び掛ける足掛かりにもなっています。
◆地域一丸となって進めたい、手話への共感
「塩尻市手話言語条例」の対象はろう者の皆さんだけでなく、市民の皆さん全員です。当たり前のように手話を使える社会の実現には、周囲の理解や協力などの共感が不可欠で、その共感がろう者の皆さんの人権を守ることにつながります。条例の前文でも次のとおり定めています。
「市民一人一人が、手話は言語であるという認識に基づき、手話の理解に努め、お互いを尊重し、分かり合い、心豊かに共生すること」
この条例に掲げた理念を実現するため、本市では多くの取り組みを進め、気軽に参加できる講座なども開催しています。誰もが手話を学び、必要な人に誰もが手話で語り掛けるまち。塩尻市がそんな地域になるよう、皆さんも次ページで簡単な手話を学んでみましょう。
・多くの関係者の努力で、県内市町村で3番目に手話言語条例を制定
・何度も会議を重ねて、手話言語条例を検討してきた塩尻市聴覚障害者協会
「手話言語の国際デー」の令和6年9月23日に、塩尻市聴覚障害者協会と塩尻桔梗ライオンズクラブが中心となり、塩尻駅前でブルーライトアップイベントを開催。「東京2025デフリンピック」を宣伝する上映会も行いました。デフリンピックの詳細は本紙2次元コードでご覧ください。
■本市では、こんな取り組みが始まっています
・市民向けのリーフレットの作成
・配布・遠隔手話システムの導入
・市長定例記者会見動画への手話通訳導入
・その他
…専門家による手話理解促進講演会
…意思疎通支援者養成事業補助制度の創設
…公費負担の手話通訳料の拡充
…手話通訳者育成のための講習会などで使用する施設のWi-Fi環境整備
■塩尻市手話言語条例制定の経過
◇平成26年9月
塩尻市聴覚障害者協会(以下「協会」)から、市議会に「『手話言語法』制定を求める意見書に関する請願」が提出
◇平成30年10月~
協会や手話サークル、塩尻市派遣通訳者の会、市議会議員有志などを中心に、手話言語条例制定のための勉強会や懇談会が開催
◇令和2年2月
塩尻市手話言語条例推進協議会が発足。構成員は、協会、塩尻市手話言語条例制定議員連盟、塩尻市派遣通訳者の会、塩尻市。条例の内容や手続きなどの準備を進めるため、令和3年12月までに合計17回の協議会を開催
◇令和3年11月25日
市議会令和3年12月定例会で、議員提出議案として塩尻市手話言語条例が提出
◇令和3年12月17日
市議会での審議の結果、議員全員の賛成により条例が可決。同日、関係者による成立報告会を開催