- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県東御市
- 広報紙名 : 市報とうみ 2026年1月号
・朝鑑賞の第一人者
教育課学校教育係
宮下 聡(みやした さとし)指導主事
・ふるさとPR大使・俳優
丸山 智己(まるやま ともみ)さん
東御市内の小中学校では、これまで読書やドリルに充てていた朝の短い時間を活用し、美術作品を鑑賞する「朝鑑賞」に取り組んでいます。「朝鑑賞」は、対話鑑賞の手法を用い、担任が進行役となって絵を見たときの気づきや感じたことを児童生徒が言葉にし、友だちの意見にも耳を傾けながら交流する、クラスのコミュニケーション活動です。この特色ある学びを広く知っていただくため、ふるさとPR大使の丸山智己さんに「朝鑑賞」を体験していただきました。
■東御市だからこそできる朝鑑賞
東御市の「朝鑑賞」は、学校だけでなく、市内の美術館や行政が一体となって推進している、全国でも例の少ない取り組みです。子どもたちは、学校へ貸し出された市内美術館が所管する作品を間近に鑑賞し、対話を通して感じたことを共有します。その作品は、子どもたちの思考や表現を引き出す〝教科書〟として活用されています。
市民の財産である貴重な文化作品が、日々の授業に生かされ、子どもたちの感性やコミュニケーション力の育成に直接つながっています。地域の文化財が地域の未来を育てる。そんな東御市ならではの学びが、子どもたちの学校生活の中に着実に根付いてきています。

■朝鑑賞を導入して見えてきた子どもたちの変化
市内の小中学校で導入して3年目の朝鑑賞。学校現場からは次のような声が届いています。
・以前より授業での発言が増えた
・子どもたちの言語能力が上がった
・自分の考えを〝言葉にして伝える力〟が伸びている
「間違ったらどうしよう」「みんなと違っていたら嫌だな」そんな不安から、自分の考えを口にすることにためらいを感じていた子どもたちも、正解のない朝鑑賞の時間を重ねることで変わってきました。
作品を見て「自分はこう感じた」と自由に話してよい場があることで、子どもたちは安心して発言できるようになり、感じたこと・考えたことを自分の言葉で伝える力が確実に伸びています。
さらに、友だちの意見を聞く中で、「自分とは違う見方もあっていい」「色んな考えがある」ということを自然と受け入れられるようになり、互いの考えを尊重する姿も増えてきました。
朝鑑賞は、言語力を育てるだけでなく、多様な意見を認め合う土壌づくりにもつながっています。
■先生たちにも広がる変化
普段の授業では、正解を教えなくてはいけない立場の先生だからこそ、この〝正解のない朝鑑賞〟時間に戸惑いを感じていた先生も少なくありません。
「どのように進行すればよいのか」「どんな問いかけが子どもを話しやすくするのか」先生たちは試行錯誤しながら、これまでの授業とは異なる〝教えない時間〟に向き合ってきました。
子どもの言葉を引き出し、受け止め、さらに深める問いを投げかけるこのプロセスは、先生自身にとっても新たな学びとなり、教える側にも変化が広がっています。
■なぜ、今「対話」が必要なのか?
11月2日、梅野記念絵画館に集まった市民の皆さんとともに、ふるさとPR大使の丸山智己さんが朝鑑賞を体験しました。鑑賞後には宮下指導主事との対談も行われました。その様子を少しだけお届けします。
宮下:これからは相手を言論で論破する姿勢ではなく、対等な立場で同じものを眺めて、意見は異なるけれど、相手の考え、感覚を受け止めて、〝そういう見方もあるよね〟と、多様性を自分の中に取り入れていくことが大切になると思っています。これからは、そういうことができる子たちが活躍していく時代になるのかなと思います。
丸山:確かに鑑賞(アート)は正解がないんですよね。僕らの子ども時代は、正解か正解に近いものしか受け入れてくれないような印象がありました。大人にこそ、朝鑑賞を経験して欲しいですね。
宮下:互いの意見の違いを理解しあおうとする姿勢こそが大切で、その積み重ねが自然な歩み寄りを生み、結果として多様性が育まれていくのだと思います。
丸山さんとの朝鑑賞を終えた宮下指導主事は次のように語りました。
宮下:参加した小学生はまだ低学年。小学1年生に限って言えば、入学して半年しか朝鑑賞を経験していません。それなのに自分の意見を伝えるだけでなく、相手の意見を聞いて、そこにインスピレーションを受けて、さらに発想を豊かにしていく姿を観て、私自身も感動しました。着実に対話する力が子どもたちについていることを感じました。
■朝鑑賞を体験してみてどうでしたか?
丸山:子どもたちが絵を観て感じたことをお互いに伝えあっている姿に感動しました。
そして、その姿を見ているうちに、僕自身の心が解放されていくのが分かりました。僕も子どもが3人いますが、感性を引き出し、受け入れてくれる環境はなかったですね。素晴らしい取り組みだと思いました。
子どもたちの自由な感性に触れながら、私自身もとても豊かな時間を過ごすことができました。
この対談の様子は後日、市公式YouTube「東御市チャンネル」で配信予定です。お楽しみに!
問い合わせ先:文化・スポーツ振興課 文化振興係
【電話】71-0670
