スポーツ 東京2025世界陸上×湯の丸

■第3弾 USOPC 上級スポーツ生理学者 ランドール・ウィルバー氏

30年以上にわたり米国オリンピックandパラリンピック委員会(USOPC)に貢献してきたスポーツ生理学者。高地トレーニング、暑熱順化、時差対策といった専門分野で、マイケル・フェルプス(水泳)をはじめとする数多くの米国オリンピック選手やコーチを支援。心臓手術や癌を克服した経験を活かしながら、スポーツと健康への情熱を生涯にわたって注ぎ続けている。

東京2025世界陸上を前に、アメリカ代表「チームUSA」が湯の丸高原と長野市を拠点に事前合宿を行いました。
今回、日本で初めて「リビングハイ+トレーニングロー(高地で生活し、低地でトレーニングする)」という世界的に注目される手法が導入され、長野が“アジアのサンモリッツ”として国際的に認められる大きな一歩となりました。

◇国際的なトレーニング拠点としての湯の丸の優位性は?
チームUSAは、長年にわたり、スイス・サンモリッツを欧州の拠点として活用しており、その標高、低地トレーニング環境へのアクセス、そしてインフラの充実度を高く評価してきました。
2019年に初めて湯の丸へ訪れた時から、国際的なトレーニング拠点としてのポテンシャルを感じていました。今回、湯の丸での高地生活と長野市での低地トレーニングを組み合わせることで、開催国内にいながら世界水準のトレーニング環境を再現することができました。
さらに湯の丸は、多様な標高帯へのアクセスが容易であり、国際的なトレーニング拠点としての優位性を一層高めていると思います。

◇湯の丸-長野モデルのトレーニングはどのような効果が得られますか?
高地の生活(湯の丸)は、赤血球数やヘモグロビン濃度を増加させ、酸素運搬能力や最大酸素摂取量を向上させる効果があり、低地トレーニング(長野市)は、酸素利用効率の高い環境で高速トレーニングを行うことで、乳酸耐性やミトコンドリア密度を強化することができます。
国際大会直前の最終調整において、素晴らしい環境であると言えます。

◇湯の丸が世界を代表するトレーニング拠点として評価される理由は?
湯の丸は標高条件に加え、ハイパフォーマンス合宿に必要な要素をすべて統合しています。国際大会に参加するトップアスリートに対応できる水準のインフラが整備されており、競技力の向上と安全な合宿運営を両立できる環境です。
チームUSAが、長年の経験と科学的検証を通じて培ってきた「リビングハイ+トレーニングロー」手法と、長野ならではの自然環境および整備された施設が融合したことで、湯の丸は世界を代表するトレーニング拠点として確固たる地位を築くに至ったと思います。

アメリカ代表チームのトレーニングキャンプの様子は後日、市公式YouTubeで配信予定です。