文化 オブシディアン通信 No.101

『オブシディアン(obsidian)』とは、英語で黒耀石という意味。黒耀石の代表的な原産地は、我が町の和田峠・星糞峠(ほしくそとうげ)をはじめとした霧ヶ峰・八ヶ岳一帯に密集しています。

■分布調査実施のお知らせとご協力のお願い〔大門地区〕
▼町の歴史を歩いて調べる遺跡の分布調査
教育委員会文化財係では、国・県の支援のもと、平成26年度から町の全域を対象に遺跡の場所や範囲を確認するための分布(ぶんぷ)調査を行っています。
国が定める文化財保護法では、遺跡のある場所での開発を行う際は事前の調査が必要とされています。遺跡やそこから発見される土器や石器などは、この列島に生活する国民共通の祖先が残したものであり、その歴史や伝統を知り、未来に伝えることは、様々な困難を乗り越える指針となりえます。また、近年では、ふるさとへの愛着や誇りを守るまちづくりの財産として積極的に保存・活用する取り組みがさかんになっています。
あらかじめ、遺跡の位置や概要を把握(はあく)しておくことは、開発の計画段階で遺跡への影響を最小限に留とどめるための協議が行いやすくなり、町の大切な歴史を守り伝えるとともに、市民の生活に必要な開発計画の実現とその工事に先立つ発掘調査を効率的に進めることにも繋(つな)がります。
遺跡の場所を調べる分布調査は、作物に影響が及ばない時期を選んで地表面が見える田畑を中心に歩き、土器や黒耀石などの石器が落ちている場所を探します。教育委員会では、9年前に男女倉地区を出発し、和田地区の谷を北に向かって踏査してきました。さらに、長門地区では古町から長久保、そして大門の谷を南へと折り返してきています。
昨年の冬に踏査した大門地区北半の遺跡については、地元の方々のご協力を頂き、昔から知られていた遺跡の位置やその広がりについても新たな情報を得ることが出来ました。
今年度の分布調査は、入大門の南端から小茂ヶ谷地区に入らせて頂きたいと思います。作物に影響を与えないよう、十分に注意して歩きますが、どうぞ、ご理解とご協力のほどよろしくお願い致します。

▼遺跡の発見についてよくある質問
「遺跡が発見されると、家を建てられなくなるのですか?」とか、「発掘の費用がかかりますか?」という質問を頂く事があります。遺跡のおかげで、念願(ねんがん)のマイホームが実現出来ないということは決してありません。但(ただ)し、地面を大きく削って造成(ぞうせい)したり、地下室などを計画されている場合は、事前に発掘調査をさせて頂くことがありますが、個人に金銭的な負担をかけないために、その費用は、国や町が対応することになっています。
一方、企業等が大きな工場を建設したり、公共事業で施設建設や道路整備、また造成事業を行う場合は、その事業の主体者に発掘調査と記録保存の整理作業に関する経費の負担をお願いする仕組みとなっています。いずれにせよ、発掘調査等は、町の教育委員会が文化財の保護業務として行う責任を担(にな)っておりますので、ご質問等がある方は、遠慮なく教育委員会の文化財担当にご連絡ください。発掘調査を行う場合には、迅速(じんそく)に対応できるよう、その準備も重要となりますので、早めのご確認を頂きたいと存じます。

問合せ:長和の里歴史館
【電話】88・0030