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■恵那の大地の歴史
その一 恵那は火山?
恵那地史研究会 古山享嗣(きょうじ)さん

恵那の大地の成り立ちは、地球規模の大地の動きと密接に関係しています。今回は恵那の大地の歴史を振り返ってみましょう。
飯地町周辺には、約5億年前から1億年前にできた「中・古生層」と呼ばれる地層があり、砂岩や泥岩、チャートや石灰岩を見ることができます。この地層は、海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込み、海洋プレートの上にあった堆積物などが大陸プレートにぶつかることで堆積物が隆起して形成されました。
恐竜が生息していた中生代後半の8500万年前には、恵那で大変動が起きました。火山が爆発し、直径20キロもの巨大な陥没体(カルデラ)ができたのです。この陥没体は恵那の大半が覆われる大きさで、深さは約1000メートルもあったといわれています。さらに、陥没体の内部にあった複数の火口から噴火が起き、大規模な火砕流(かさいりゅう)(※1)が発生。火砕流(かさいりゅう)は陥没体を埋め尽くすだけでなく、次々と流れ下り恵那山(※2)にまで及びました。その後、それらの火砕流が固まって、厚さ数百メートルに及ぶ濃飛流紋岩(のうひりゅうもんがん)と呼ばれる岩石の塊が形成されました。
陥没体は、長い月日を経て削られていき、現在はその跡を見ることはできません。しかし、複数の火口のうち、恵那峡南側の阿木川には火口跡にあたる火道道角(かどうかく)れき岩(がん)があり、当時のカルデラ火山活動を物語る唯一の場所です。

※1 マグマが噴出することで出る、高温の破片状物質や、火山ガス、火山灰などが高速で流れるもの
※2 当時の恵那山は今よりおおよそ2000メートル低かった。現在の恵那山は標高2191メートル。