- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県島田市
- 広報紙名 : 広報しまだ 2025年11月号
■思い描くこと全てを一人ではできないが、地域のチカラが加わればその可能性は無限大
あい愛サロンの会 会長
池谷愛子(いけがやあいこ)さん(東町)
東町で子どもや母親たちの居場所を提供する「あい愛サロンの会」。会長の池谷さんは、住民のつながりが希薄化する現状を憂い、地域とともに子育てをサポートする組織を立ち上げ、運営しています。
●奪われた子どもの日常
15年前、育児に悩むお母さんたちの憩いの場として、あい愛サロンの会を立ち上げた池谷さん。これまでの歩みを振り返ります。
「長年、保育士として務めた経験から『お母さんが元気でなければ、子どもは元気にならない』と常に感じていました。そのため、退職後に当会を立ち上げた頃は、母親支援をメインに活動していました。変化が訪れたのはコロナ禍の時。給食の黙食や人と距離を取って遊ぶなど、子どもたちの日常にも規制が加わるようになりました。心の成長期真っ只中の小・中学生は、どうなってしまうのか。漠然とした心配から、子どもが安心して集える子ども食堂と、体験型の遊び場が一体となった居場所を作りました」
●地域で作る災害時の居場所
子どもの安全・安心について思いを巡らす池谷さん。2年前から、自主防災組織と連携し、災害時の子どもの居場所作りを進めています。
「災害が発生したとき、支援の手が届きにくいものの一つが、子どもたちの居場所。食料などのように、誰かに持ってもらう来るわけにはいきませんから、自分たちで作る必要があります。訓練では、電気やガスの無い避難生活を想定し、工作やボードゲームなどの遊び体験コーナーを設置。普段から慣れておくことで、いざという時にストレス無く過ごせるようになるのではないでしょうか。また、中学生には避難所内の案内板を作成してもらいました。ピクトグラムや多言語表記の案内板には『誰もが快適な避難生活を』という子どもたちの優しい思いが詰まっていました」
●地域のチカラが生む喜び
「あい愛サロンは他にも、遊休農地をお借りした農業体験、ボーイスカウトによる遊びの体験など、子どもたちが楽しむコンテンツで一杯です。それらは自慢の一つですが、私一人で成し得たものではありません。ボランティアや周囲の協力があるからこそ運営ができております。たびたび『自分のやっていることが誰かのためになっていて幸せ』という声をスタッフから聞くことがあります。助け合うことは、助けられる側だけではなく、助ける側にも喜びをもたらすんですよね。そんな幸福の連鎖を、地域の中でこれからも広げていきたいですね」
みんなのお母さんのようなまなざしで、子どもたちを見守る池谷さん。地域のチカラを借りて広がる愛情一杯の活動は、今後も住民に笑顔と幸せを運ぶでしょう。
