くらし [特集]縁(えん) 地域を支える共助のチカラ(2)

[縁のかなめ]
地域のつながりや共助の要として欠かすことのできない自治会。市内には68団体が存在し、3万4350世帯が加入している。全国的に見ても、本市の加入率は高いものの、コロナ禍の前後では低下している。その役割は何か。在るべき姿を考える。

■自治会とは?
・一定の区域に住む人が自主的な意思に基づき構成した任意の組織。法律上は「地縁団体」と呼ばれることも。
・活動は、住民相互による支え合いで行う公益的なもの。
活動の一例:親睦行事、清掃、防災訓練など
島田市「自治会運営サポートブック」より

■INTERVIEW 自治会と住民、自治会と自治体、双方向による思いやりが必要
関東学院大学社会学部 小山弘美(こやまひろみ)教授
PROFILE:関東学院大学社会学部教授。社会学博士。専門は都市社会学・地域社会学。特に町内会・自治会および市民活動・NPOと、基礎自治体との協働が主な研究テーマ。2025年度は米国シアトル市のコミュニティ活動について在外研究中。

▽全国的な自治会の現状は?
担う仕事が増える一方、人口減少、共働き世帯の増加、定年延長などの影響により、役員のなり手が不足しています。住民みんなで取り組む組織から、やりたい人だけが参加する組織へと変化しつつあります。

▽なぜ仕事が多くなっているのか?
理由の一つは、自治体からの依頼が増えていることです。特に2000年代頃から、加入者の減少に反して依頼は増加。自治体の厳しい財政状況などが影響し、自治会に頼らざるを得ないのが現状です。

▽自治会本来の役割とは?
住民同士の交流を促すことだと思います。困った時に助け合える関係は、お互いを認識し、気に掛けるようになって初めて成立します。それを構築する機会が、自治会などの活動ではないでしょうか。参加することで、住民同士の交流が活発になり、顔見知りが増えていきます。それが災害など、いざという時に大きなチカラを発揮するのです。

▽自治会の活動で大切なことは?
楽しむことがもっとも大切です。役割が増え、役員など負担に感じることもあるかもしれません。しかし、企画する役員、参加する住民ともに楽しめなければ、苦しいだけの組織になってしまいます。楽しみながら、本来の目的である住民同士の交流促進を達成できると良いですよね。

▽自治会が存続するためには?
自治会の活動が無くなったときのことを想像してみてください。地域の草取り、ごみ集積所の掃除など、景観が悪くなるだけではなく、衛生的に環境が悪化し、住みやすいとは言い難い状態になるのではないでしょうか。当たり前の日常は、地域のチカラ無くして維持することはできないはずです。「なぜ道路はきれいなのか?」、そんな想像を働かせるだけでも、自治会の必要性を感じることができると思います。他者を思う想像は、住民だけに限りません。自治会と住民、自治会と自治体と、どちらも双方向で思いをはせることにより、今後も自治会はより良い活動ができるはずです。

■市内自治会加入世帯割合(%)
H30年度 90.3

R7年度 86.5

■INTERVIEW 住民同士がちょうどいい距離で、つながり続けることが大切
島田市自治会連合会 会長
旭町自治会 会長 
長屋正(ながやただし)さん

▽自治会でやっていることは?
防犯灯の設置、ごみ集積所の管理、イベントの企画・運営などを行っています。細かなことを含めると、他にもいろいろありますが、住民の安全・安心と、相互の親睦を深めることを目的として、日々の活動を行っています。

▽自治会運営の課題は?
役員の担い手が不足していることです。役員になると、仕事が多くて負担が大きいことが一因であると考えています。

▽負担減らすための取り組みは?
旭町では、仕事を効率化するために、DXの推進に取り組んでいます。
具体的にはLINEワークスを導入しました。活動自体は、住民誰もが参加しやすいように、スリム化を進めています。前例にとらわれず、やり方を見直すことで、地域のつながりを保つように工夫しながら活動しています。

▽自治会の在るべき姿は?
住民同士が、ちょうどいい距離感でつながり保てるようにすることではないでしょうか。イベントをするだけが自治会活動ではありません。高齢者の集いに子どもたちが学校帰りに顔を出す。一つの場所に多世代が集うことは、地域の中で顔の見える関係が広がります。それは、住民にとって一つの安全・安心につながります。地域の潤滑油になるような活動を続けていきたいですね。

■自治会DX始めませんか
市や自治会連合会では、自治会のDXの推進をバックアップする研修を実施したり、補助制度を設けたりしています。詳しくは市ホームページをご覧ください。

▽島田市自治会連合会デジタル塾(シマデジ)
内容:自治会の役員などを対象にEメール、ZOOM、LINEなどの実践的なデジタルツールを学習

▽自治会情報通信機器等整備事業
内容:市がDX環境整備に関する補助を実施
※補助額など詳しくは市ホームページをご覧ください。

▽自治会デジタル推進のご相談
内容:電話(【電話】0120-152-881)による自治会DX推進にかかる相談など

問合せ:市民協働課
【電話】36-7403