- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県森町
- 広報紙名 : 広報もりまち 令和7年11月号
■森町コラム-首下がり症-
年齢を重ねると、「首が前に垂れてしまって上を向きにくい」といった症状が現れることがあります。医学的にはこれを「首下がり症(Dropped head syndrome)」と呼びます。
首下がり症は、首を支える筋肉の力が弱くなることで起こります。首の筋肉は重たい頭を支えるために常に働いていますが、加齢により筋力や持久力が低下すると、次第に支えきれなくなってしまいます。また、背中が曲がってくると前を向くために首を反らさなければならず、その負担で首が前に倒れやすくなることもあります。その結果、上を向きにくくなり、症状が進むとまっすぐ前を見るのも難しくなります。首の疲れやすさや日常生活での不便、さらには外見上の姿勢の変化がご本人の気持ちに影響を与えることも少なくありません。
原因は加齢に伴う筋力低下だけではなく、神経や筋肉の病気が隠れている場合もあります。まれではありますが、パーキンソン病の初期症状や向精神薬の副作用として現れることも知られています。
治療や対応としては、まず原因をしっかり調べることが大切です。そのうえで、リハビリテーションによる首や背中の筋肉トレーニング、姿勢を補助する装具の使用などが行われます。日常生活では、首や背中のストレッチや軽い筋力トレーニングを継続することが予防につながります。さらに、読書や食事の際には机や本の高さを工夫し、首への負担を減らすことも大切です。
「首が重くて上がりにくい」「姿勢が前に崩れてきた」と感じたら、年齢のせいと決めつけず、早めに専門医へ相談しましょう。
