くらし Story わたし物語

■真摯(しんし)に向き合う心で夢をつかむ

金山 咲希(かなやま さき)さん
日本壮心流南心昭武館 所属
全国剣詩舞コンクール決勝大会「剣舞 少年の部」2位
※少年の部 対象:12歳以上18歳未満の男女

吟詠に合わせて紋付き袴で踊る古典芸能の剣詩舞。剣詩舞には、模造刀や扇子を手にして踊る「剣舞」と刀を持たずに扇子のみで踊る「詩舞」の2つがあり、古武道の格式と詩の心を表す芸術性を合わせもつのが剣詩舞の特徴です。
そんな古典芸能の世界で活躍し、輝きを放つのが、六ツ美中学校3年生の金山さんです。剣詩舞との出会いは5歳のころ、祖父から勧められたことがきっかけでした。最初は剣舞と詩舞をやっていましたが、小学3年生になると剣を使った緩急のある動きに魅了され剣舞に専念。初めて出場した大会で年下の子が入賞する姿に感化され、剣舞にのめりこんでいきました。「上手な人の緩急のある剣さばきは本当にかっこいいです。どうしたら自分でその動きを取り入れることができるかを考え、実際にやってみることは楽しいです」と目を輝かせて剣舞の魅力を語ります。
これまでは、上を目指したいという想いを胸に稽古に励み続けてきましたが、全国大会出場の壁は高く、何度も悔しい思いをしてきました。その悔しさを糧に、真摯に剣舞と向き合い、今年度は念願の全国大会出場の切符をつかむことができました。
初めての全国の大舞台で披露したのは、鎌倉時代から南北朝時代にかけ、天皇に忠義を尽くした楠木正成(まさしげ)が題材の「大楠公(だいなんこう)」という演目。剣舞で重要となるのは、詩の心を深く理解し、武道の型を芸術的に表現することです。彼女は、歴史背景や人物像を研究することで、目線や姿勢、発声、刀の構え方など細部まで楠木正成になりきることにこだわりました。その結果、張り詰めた緊張感の中でも稽古の成果を発揮し、見事準優勝を果たしました。「悲願の全国大会の舞台に立てたことが光栄だったので、全力を尽くそうと思っていました。自分の中では一番いい演技ができたと思います」と大会当日を笑顔で振り返り、「次は全国で優勝」と新たな目標を掲げます。
現在は、中学3年生で受験生として学業に全力を尽くす金山さん。将来の夢は医師になることだといいます。何事にも真摯に向き合えるという強みを活(い)かして、古典芸能の世界のみならず活躍していくことでしょう。