文化 歴史散歩 303

■三代歌川豊国「見立三十六歌撰之内在原業平朝臣」(当館蔵)
不気味な顔つきの男が、背を丸めて、何かをにらみ付けています。背景は強風に散る桜が描かれ、薄暗い雰囲気です。
本作が出版された頃、歌舞伎役者の大首絵は幕府によって禁止されており、浮世絵師たちは、役者を平安の歌人などに仮託することで、規制をかいくぐっていました。
在原業平に見立てられているのは、八代目市川團十郎が演じる清水寺の僧・清玄。桜姫に叶わぬ恋をし、非業の死を遂げた清玄の怨念が雰囲気に表れています。
この資料は、歴史ひろばの特集「江戸の印刷」で展示しています。

問合せ:歴史博物館
【電話】63-6100