くらし 市長コラム vol.4

■清流が育む恵み
いよいよ夏本番。ヤナ場のシーズンを迎えました。6月22日、豊川上流の「寒狭川広見ヤナ」では、ヤナ開き式と安全祈願祭が開催され、この日を待ちわびた多くの家族連れでにぎわいました。特に都市部の方にとってここは、大自然の中、山あいの清流で川遊びや鮎のつかみ取り体験を楽しめる、非日常のパラダイス的な空間だと想像できます。そして子どもたちにとってこの場所での遊びや体験は、大切な学びでもあると思います。
豊川には上流から中下流にいたる複数カ所に、暮らしや産業に必要な取水をする頭首工や堰(せき)があるため、4月下旬頃から遡上する天然の稚鮎などの魚が、上流にたどり着くことができない状況にあります。上流域の清流で大きく育つ天然鮎が見られなくなった状況を長年見ており、私は大変もどかしい思いでいました。こうした状況の中、今年は画期的な変化が起きたのです。牟呂松原(むろまつばら)頭首工まで遡上してくる天然の稚鮎を大量に捕獲し、寒狭川や宇連川などの上流に運び放流されたのです。これは、寒狭川中部の漁業協同組合長さんが中心になり、数年かけて臨んできた試みが、6号共同漁場を管理する下豊川、豊川上、寒狭川下の3漁業協同組合の理解と協力のもとに実現したのです。豊川上流の内水面漁業資源と、清流が育む恵みを大切に守り育てるという、漁業協同組合の皆さんの志と行動力に感銘を受けました。
山と川がもたらす自然の恵みについて改めて再考し、今シーズンの天然鮎の生育を楽しみにしながら、ヤナ場や漁業協同組合の皆さんを中心とした上流域のこうした営みが、長く続いていくよう応援してまいります。

問合せ:秘書人事課
【電話】23-7623