くらし 津市(このまち)で輝く vol.108

◆津市から世界へ 心動かす芸術を
静かな山あいの文化拠点から国内外へ作品を発信する劇団「第七劇場」。
鳴海さんは、東京や海外での活動を経て津市美里町へ移住。「創作の場を持てる環境を求める中、自分を必要とし、親身に支援してくれる人との縁が移住の決め手でした」と振り返る。
移住から10年余。舞台上演に加え、学校公演や地域行事、廃校活用企画など、地域に根ざした活動を重ねてきた。みさとの丘学園の校歌制作にも携わり、地域との関わりの中で創作の幅を広げている。観客は年々増え、「地方の都市でも文化を求める人は必ずいる」と実感している。
「津での創作は、都市部のような専門性の高い創作に専念できる環境とは違い、親子で楽しめる作品や高齢者と行う企画など、幅広い要請に応える“ホテルのコンシェルジュ”のようなものです。多様な創作の積み重ねが視点を広げ、作品をより豊かにしました。よい作品を生み出すのに都市部である必要はありません」。津で暮らし、人と関わりながら創作する。その作品が届くことで、文化として還元する―この連なりが地域の文化を豊かにする。
「いつか市全体を舞台に、演劇・ダンス・音楽など多様な表現が集う芸術祭を開き、人を呼び込みたい。作品を楽しみながら地域の魅力に触れてほしいです」

演出家 鳴海(なるみ) 康平(こうへい)さん
1979年北海道紋別市生まれ。早稲田大学在籍中に劇団「第七劇場」を設立し、2014年に美里地域に拠点を移設。これまでに国内25都市、海外5カ国11都市で作品を上演。令和6年度津市文化奨励賞受賞。
・公演先では帰路の大変さを忘れ大量の書籍を購入
座右の銘:演劇は人の内なる凍った海を砕く斧であるべき