- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県伊勢市
- 広報紙名 : 広報いせ 令和7年6月1日号
■専門家インタビュー
◇Interview(インタビュー)1 農作物への影響
JA伊勢 営農部 米穀支援課
井上 周三さん
部会や研修会で注意喚起と対策を発信
高温対策としては、関係機関と協力して高温に対応できる生産技術や品種の試験を実施しています。さらに、果樹においては、根の伸長を促したり果実の日焼けを軽減する技術を指導しています。
また、害虫対策においては、関係機関との連携、現地巡回、生産者からの聞き取りなどをもとに、各生産者へ注意喚起と対策を発信しています。特に水稲では、稲穂をカメムシに吸われると米が黒くなるため、ラジコンヘリコプターやドローンによる防除の時期を変更して、よりカメムシ対策に重点をおいた防除体系へ変更します。
地産地消が地元の生産を応援することにつながります
身土不二(しんどふじ)という言葉があり、「その土地のものを食べ、生活するのが身体(からだ)によい」という食の思想を意味する言葉です。
「伊勢の土地を耕して育てた作物を、伊勢に住む人が食べること」で、消費者は健康な生活を送ることができ、そして地元の生産者を応援することにつながります。市民の皆さんは、ぜひ地元で生産された農作物、国産農作物の消費をお願いします。
◇Interview(インタビュー)2 健康面への影響
伊勢総合病院 内科・総合診療科副部長
谷崎 隆太郎さん
熱中症とは何なのか?
熱中症とは、「熱そのものによる高体温状態が続くこと」と「発汗が増えることによる脱水」の2つの理由によって、体のさまざまな調節が効かなくなる状態です。私たちの体には高温環境では汗をかいて、その汗が蒸発するときに体の熱を下げ、体温が上昇しすぎないように調節する仕組みがあります。しかし、あまりに暑すぎたり汗をかきすぎて水分補給が追いつかなかったりすると、うまく汗をかけずに熱がこもり、熱中症を起こします。
熱中症の初期症状はめまいや立ちくらみなどですが、次第に頭痛・嘔吐・倦怠(けんたい)感が出現し、最終的には意識を失ったり、痙攣(けいれん)したりします。特に、高齢になると自覚症状を感じにくくなるため、気がついたら熱中症が進行していて、いきなり意識を失って倒れるといった事態も起こります。
熱中症の治療と予防
熱中症の予防・治療でよくある誤解の一つに、「水分を補給してさえいれば熱中症にならない」というものがあります。熱中症の予防・治療では「水分を補給すること」に加えて「体を冷ますこと」も必要なので、高温環境で活動している際には、水分補給だけでなく定期的に涼しい環境に移動することも意識しましょう!
◇Interview(インタビュー)3 災害への影響
香川大学 創造工学部 准教授
竹之内 健介さん(伊勢市出身)
大雨が増えるぞ!
ゲリラ豪雨、線状降水帯、スーパー台風、どれも危なそうな言葉ですが、あなたは知っていますか?気候変動で、こういった大雨が起こりやすくなってきています。油断していると、気づいたら危なくなっていたり、被害を受けて困ったりすることになるかもしれません。今までは大雨でも大丈夫だった。伊勢市でも、もうそんな考えは通じません。経験したことのないような大雨が今後起こるかもしれません。
どんな対策が話されているの??
大雨が増える中で、避難を知らせる避難情報も変化してきました。令和元年からは、警戒レベルが行政から発表されるようになりました。そのうち、レベル3からレベル5は伊勢市から発令されます。数字で示すことで危険の大きさを分かりやすく教えてくれます。
川の氾濫から社会を守るために、令和5年からは全国で「流域治水プロジェクト2.0」の取り組みも始まりました。この中では、気候変動に備えて、改めてまちづくりや堤防の整備など、河川全体で川の防災を考える取り組みが話し合われています。
あなたは、どうする!?
それでも災害は起こります。あなたは、そのときどうしますか?そんなこと言われても、どうしていいか分からない人も多いと思います。しかし、気候変動に備えて、必ず考えておく必要があります。まずは家庭で大雨が降ったときのルールを決めておきましょう。ルール作りには、警戒レベルを使うのがまずは基本です。しかし、ゲリラ豪雨や線状降水帯は突然起きたりもします。いつもと違うなと思ったら、家の浸水対策や避難行動をする!そういった家庭や地域でのルール作りを今すぐ始めてください。気候変動による大雨の危険はますます高まってきています。
■市長から皆さんへのお願い
令和5・6年は記録的な猛暑となりました。本市でも猛暑に備えて、熱中症対策の啓発やクーリングシェルター※を運用しています。市民の皆さんも本格的な暑さになる前に、暑さに順応できる体や健康づくり、また、身の回りの暑さ対策などの準備を進めていただきますようお願いします。
さらには、台風や大雨災害のリスクが高まる時期でもあります。いざというときに適切な行動を取れるように、普段から災害に対する心構えと備えをお願いします。
伊勢市長 鈴木 健一
※クーリングシェルターとは
熱中症警戒アラートの一段階上である「熱中症特別警戒アラート」が発表された場合に、暑さをしのぐ場所のことです。
市役所・3総合支所・9支所、図書館などの公共施設のほか、民間の商業施設にも協力いただき運営をしています。
問合せ:環境課
【電話】21-5540【FAX】21-5522