- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県桑名市
- 広報紙名 : 広報くわな 令和7年10月1日号
桑名市総合医療センター病理診断科
白石泰三(たいぞう)さん
今月のテーマ:「がんは遺伝するの?」
日本人の死因の第一位は「がん」です。がんは遺伝子の病気とも言われております。突然変異により「がん遺伝子」が活性化したり「がん抑制遺伝子」が正常に機能しなくなるとがんが発生します。
遺伝子の病気なら親から子に遺伝するのだろうか?と疑問に思われるかもしれませんが、そうではありません。がんに限らず病気が子に遺伝するのは親の精子や卵子など生殖細胞の遺伝子に異常がある場合のみです。通常のがんは生殖細胞ではなく、大腸や肺など臓器の細胞の遺伝子に突然変異がおこり、発生します。大腸や肺の細胞の遺伝子に異常(突然変異)があっても子には遺伝しません。遺伝性のがんもみられますが、例えば大腸がんでは全体の5%程度と低頻度です。
遺伝性の発症と紛らわしいケースが家族性発症です。この言葉は幅広い意味があります。どの遺伝子に原因があるのかよく分かってない場合も含みますが、単に生活環境が同じであることが原因の場合が多いです。これはがんに限ったことではないのですが、例えば、親が高血圧症や糖尿病だと、その子どもも同じ病気にかかるリスクは高まります。未知の遺伝子が関わっているのかもしれませんし、食事の好みが受け継がれ、塩分摂取が多い(濃い味付け)とか、カロリー摂取が多い家系によるかもしれません。
まとめますと、がんは遺伝子の病気ではありますが、遺伝するのはごくまれで、通常は遺伝しません。しかし、生活環境が同じ場合にがん発生のリスクが高まる可能性はあります。
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