- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県名張市
- 広報紙名 : 広報なばり 令和8年1月10日号
「あの人、最近来ていないな……」
「常連さん、今日はなんだか元気がなさそう」
お店で交わす何気ない会話や、ささいな気づきが、実は暮らしを支える「見守り」です。ちょっと気にかける人があちこちにいるまち。これが、「なんとかなるなる。なばりです。」のロゴが表す名張の姿でもあります。
一人暮らしの高齢者が増える中で、「いつもと違う」に気づく見守りは、これまで以上に大切になっています。買い物や散歩の途中に、ちょっと顔を合わせて「元気?」と声をかけ合える。そんなつながりがあると、抱えている不安や心配事、心身の不調などにも、いち早く気づくことができます。
市ではこれまでも、地域住民やまちの保健室、民生委員・児童委員などによる見守りや声かけの活動を進めてきました。さらに新聞配達や宅配など、日ごろから家庭を訪問する事業者にも協力いただき、異変に気づいたときには地域包括支援センターへつないでいただく仕組みも整えています。
そして今、新たな「見守りの目」として期待されるのが、地域に根差すお店の皆さんです。
■あちこちのお店で、さりげなく見守る。
市内には、地域に根差してお客さんの様子をさりげなく見守っているお店がたくさんあります。今回は、その中の5店に、日頃の見守りについてお話を伺いました。
◇さりげない見守りが、まるで「まちの保健室」―西川商店
魚や野菜、惣菜やお弁当まで、なんでもそろう西川商店。50年程続くこの店は、長い間赤目地域の食を支えてきました。お客さんのほとんどは近所の人で、顔を見れば、だいたいどこの誰かが分かります。
買い物を終えても、店で一時間近く話をしていく人もいます。「雑談をして、すっきりして帰ってくれはるんかもね」と西川洋子さん。毎日来ていた人の姿が見えなくなると近所の人に様子を聞いたり、介護の相談を受けてケアマネジャーにつないだり。また、毎日同じ物を買っていく認知症の人がいれば、必要以上の購入を止めるために「もうこの商品はないよ」と伝えたり、購入日時を控えておいたり。「見守りなんてしてないよ」と言いながらも、まるで、暮らしの悩みや心配事を気軽に相談できる「まちの保健室」のようなお店です。
「元気なうちはずっと続けたい」と話す洋子さん。日々のさりげない見守りとサポートが、たくさんのお客さんを支えています。
西川洋子さん 博さん
◇お客さんの日常の中に、いつもあるお店でいたい―パン屋「ごまめ」
8年前にオープンしたごまめ」は、夫婦で営む小さなパン屋さん。対面でパンを受け取るスタイルなので、お客さんとの会話が自然と生まれます。
訪れるお客さんで特に多いのは、高齢者や子育て中のお母さん世代だそう。「接客を主に担当する妻とのおしゃべりを楽しみに来てくれるお客さんもいます」と、店主の山﨑将人さん。顔なじみの常連さんがしばらく来ないと心配になるそうで、「高齢の常連さんがしばらく姿を見せなかった時、たまたま来店した息子さんに『お父さん、どうしてる?』と聞いたことがきっかけで、後日、常連さん本人が顔を見せに来てくれたこともありましたね」と話します。
「パンは日々の食事で食べる物なので、パン屋への買い物は日常の一部。皆さんの日常にいつもあるお店でいたいですね」と優しく笑う山﨑さん。日々の営業の中でお客さんの様子に気づくことも、何気ない見守りの一つです。
店主 山﨑将人さん
◇認知症の人でも、安心して買い物に来られるお店に―マックスバリュ名張店
24時間営業のマックスバリュ名張店には、午前は高齢者、午後は子育て世帯、夜間は仕事帰りの人など、一日を通してさまざまなお客さんが訪れます。一日に約3千人訪れるお客さんを、従業員の皆さんは、接客の中で自然に見守っています。
「従業員のほとんどが認知症サポーター。店内で同じ場所を行ったり来たりする人に『何かお探しですか?』と優しく声をかけたり、未精算の商品を店外へ持ち出そうとする人には『お買い上げされますか?』と声をかけたりと、配慮が必要な人にもしっかりと寄り添った対応を心がけています」と話すのは、店長の伊藤弦さん。「迷惑行為として入店を制限することもできますが、そうではなく、認知症の人でも安心して買い物できる店にしたいと思っています」。
多くの人が利用するお店だからこそのさりげない見守りが、安心につながっています。
店長 伊藤弦さん
