- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県尾鷲市
- 広報紙名 : 広報おわせ 令和7年3月号
■ウシマンボウ
ウシマンボウはフグ目マンボウ科マンボウ属の魚で、世界中の熱帯、温帯域に分布しています。ウシマンボウはサメやエイなどの軟骨(なんこつ)魚類を除いた、硬骨(こうこつ)魚類(いわゆる魚)の中で最も重い魚で、全長3m以上、体重2t以上になります。2021年に北大西洋に死んで浮かんでいた2.7tのウシマンボウが現在のギネス記録ですが、それまでは1996年に千葉県沖の定置網で獲れた2.3tのウシマンボウが世界最大でした。
マンボウ属の魚は近年分類が整理され、マンボウ、ウシマンボウ、カクレマンボウの3種に分類されています。マンボウ科は、マンボウ属3種の他にヤリマンボウ属のヤリマンボウが1種、クサビフグ属のクサビフグ1種の、全部で5種になります。マンボウは日本近海で最も多いマンボウの種類です。国内最大記録は島根県で捕獲された2.75m、1.1tのマンボウで鳥取県境港市の「海とくらしの史料館」に剥製(はくせい)が展示されています。カクレマンボウは南半球での発見例が多く、日本では発見されていません。ウシマンボウはマンボウよりも温かい水温を好む傾向があるとされています。
ウシマンボウは、頭部と下顎(あご)の下が出っ張ること、舵(かじ)びれという魚の尾びれにあたる部分がウシマンボウは丸く、マンボウは波打つことで見分けられますが、これらの特徴は大型個体で顕著(けんちょ)であり、中~小型では見分けがつきにくいため、漁業現場では、マンボウとウシマンボウは通常、区別せずに扱われています。1~2mの中型個体であれば、胸びれの後ろの体表に注目し、盛り上がるほどのシワがあればマンボウ、なければウシマンボウと見分けられるようです。定置網の漁師さんが、シワが多く、ざらざらしたものを「ヤスリマンボウ」、つるつるし、シワがないものを「エビスマンボウ」と呼ぶ地域もあり、専門家の見解によるとヤスリマンボウはマンボウ、エビスマンボウはヤリマンボウが該当すると考えられています。