文化 きょういくあれこれ

■法念寺の山号額(さんごうがく)
令和5年11月28日、三木里にある法念寺様の御厚意により、山号額を見せていただきました。今回は実見により明らかになったことをご紹介します。
同寺の山号額は、通常本堂正面入口の上部に掲(かか)げられています。これが、本堂の漆喰(しっくい)の塗り替え工事を機に一旦取り外されることとなりました。寸法は概(おおむ)ね縦66cm、横152cmで、ケヤキの一枚板が用いられ、額面中央に横書きで寺号の「法念寺」、左側には縦書きで「勅賜(ちょくし)愚渓書(ぐけいしょ)」と彫刻されています。また3つの落款(らっかん)も確認でき、そのうちの一つは「愚慶」と彫刻されています。
さらに額の裏面に付着したホコリや砂を取り除いた結果、「天保九戊戌龍舎(つちのえいぬりゅうしゃ)九月大祥(だいしょう)」「作之(これをつくる)」「佛國(ぶっこく)」の墨書(ぼくしょ)も確認できました。
以上のことから、この山号額について、(1)額面の寺号は15世の快堂愚慶大和尚の書であること、(2)天保(てんぽう)9(1838)年9月に製作されたことが分かりました。
ところで、彫り込みを注意深く観察すると、寺号「法念寺」には黒い塗料、そして「勅賜愚渓書」には赤い塗料がわずかに残っています。製作当初は、彩色された色鮮やかな字体が目を引く山号額だったのでしょう。
汚れを落として綺麗になった山号額は、現在も参拝者を出迎え続けています。