くらし 地域で広げる脱炭素の暮らし(1)

いなべ市では、令和6年度から令和10年度まで、市民や市内事業者を対象に、「再エネ・省エネ補助金」を案内しています。今回は、補助金を活用して屋根置き自家消費型の太陽光発電設備などを導入した市民や事業者を紹介します。

▼再エネ・省エネ補助金の導入背景
▽補助内容(詳細は本紙P5へ)
・太陽光パネル+蓄電池の設置
・窓の断熱改修(樹脂窓、二重ペアガラスなど)
・エネルギー収支ゼロ以下をめざすZEH住宅の新築

いなべ市は2030年に温室効果ガスを2013年度比47%削減、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする取り組みを推進しています。ところが市内の戸建て住宅で太陽光発電設備を設置しているのは2018年度でわずか約9%。二重窓などの断熱設備の普及も、初期費用の高さが最大の壁になっています。
そこで市は、屋根置き自家消費型の太陽光発電設備などを対象に費用の一部を補助し、市民・事業者の投資を力強く後押しします。自宅や職場を“自家発電and省エネ拠点”に変えていくことで、家計を守りながら災害時の電源を確保し、まち全体の脱炭素を加速させていくことがねらいです。

《自然電力いなべ株式会社(員弁町笠田新田73番地1)》
市の協力のもと、地域の電力会社として「再生可能エネルギーをつくる・ためる・つかう」を地域内で完結させ、そこで生まれた利益と電力を再び地元へ戻す「エネルギーの地産地活」を実行中。温室効果ガスの削減や災害に強いまちづくりを進める役割を担っています。

▼補助制度の利用市民
▽共働き家庭とペットを支える太陽光
太陽光パネル4.5kW 新美さんご家族
うちはオール電化で共働き家庭です。平日は夫婦とも不在がちですが、掃除ロボ・衣類乾燥機・洗濯機などは人がいなくても稼働するので、日中でも想像以上に電気を消費します。さらにペットがいると夏も冬も空調を切れず、電気代がかさむため、太陽光パネルでの発電は本当に頼りになります。雪の日は難しいですが、春先でも発電量は十分で、毎月の電気代は平均して1万円ほどに抑えられています。
蓄電池は価格が高く今回は見送りましたが、屋外に電気自動車用の充電ポートを設けて、将来は“走る蓄電池”として活用できるようにしました。また、日中の停電時に非常用コンセントを備え、防災面も補えるようにしています。
再生可能エネルギーの設備は大きな買い物です。市の補助金が活用できたこと、細かな要望に柔軟に応えてくれる信頼のある地元工務店に頼めたことが大きな安心材料でした。これから家を建てる人にもぜひ検討してほしいです。

▽発電分で電気代がほぼ半額に
太陽光パネル6.5kW+蓄電池9.3kWh 川瀬さんご家族
以前から再生可能エネルギーとしての太陽光発電に関心があり、約10年前から事業で導入していました。近年の太陽光パネルや蓄電池は性能が高く、それでいて価格も下がっており、市の補助が受けられることもあって、自宅への設置を決めました。
かかった工事費は、補助額の約80万円を引いて200万円ほど。決して安くない額ですが、補助申請は業者が代行してくれるので手間はかからず、また日中在宅の私には発電した電気を即座に使えるメリットが大きいです。オール電化のため、高かった冬場の電気代が半額近く下がるなど、日々の生活の中で効果を実感しています。最近は、スマートフォンで発電量と使用量を眺めるのが毎日の楽しみになっています。