文化 KUSATSU 歴史ギャラリー No.210

■万国博記念乗車券―大盛況を支えた縁の下の力持ち―
大阪では55年ぶりとなる国際博覧会、大阪・関西万博が、4月13日から開催されています。これにちなんで今回は、昭和45(1970)年に開催された大阪万博に光を当てたいと思います。
大阪万博は、国内外から数多くのパビリオンが参加し、3月15日から9月13日までの半年間で入場者は6,400万人以上でした。これほど多くの入場者はどのようにして訪れたのでしょうか。その背景には、万博に合わせて開業された臨時駅の設置がありました。当時の交通事情を、1枚の記念乗車券を手掛かりに考えていきます。
今回紹介する記念乗車券は、市が寄贈を受けた8千点以上の鉄道関係資料「山口正コレクション」のうちの1枚です。乗車券は「万国博記念乗車券」で、日本国有鉄道(国鉄)によって発行されたものです。
乗車券のデザインは上部に、シンボルであった太陽の塔の他、オーストラリア館など各国のパビリオン、万国博モノレールやレインボーロープウェイなど、当時の最新技術を用いた施設が描かれています。
下部が切符になっていて、経路は国鉄津田駅(現在のJR津田駅、枚方市)から環状線を経由し、大阪駅で阪急電車梅田駅(現在の大阪梅田駅)に乗り、万国博西口駅に到着するルートでした。
万国博西口駅は、昭和44(1969)年11月に当時の南千里駅と北千里駅の間に開業し、会期中、約920万人が利用しました。多くの人々の輸送のため、万国博西口駅につながる路線には臨時ダイヤが組まれ、特に1日の利用者数が83万人を超えた9月5日には、深夜2時まで運行を延長しました。
このように盛況を支えた万国博西口駅でしたが、会期終了後の昭和45年9月14日に臨時駅の役目を終え、廃止となりました。

問合せ:草津宿街道交流館(草津三)
【電話】567-0030
【FAX】567-0031