くらし おすすめの本を紹介

■潮騒(しおさい)
三島由紀夫 著
新潮社
伊勢湾にある歌島を舞台に、貧しい家庭で母と弟と共に暮らす18歳の漁師・久保新治と、島の有力者の娘である宮田初江の身分違いの恋を描いた物語です。二人は互いに惹ひかれ合い、思いを育んでいましたが、周囲の人たちは結婚を認めず、連絡を取ることさえできなくなります。そんな中、新治は漁師修業のために初江の父の船に乗ることになり、荒海の中で命綱と浮標をつなぐ果敢な行動をみせた新治は英雄となって、晴れて初江との結婚を認められます。
本書は、古代ギリシャの物語である『ダフニスとクロエ』という下敷きがあり、平和で静穏な世界が描かれています。恋人同士がいくつかの障害や不運に見舞われながらも、それらを乗り越えて結ばれる筋立ては素直な青春の恋物語として読みやすく、これをきっかけに、三島由紀夫の作品に触れてみてはいかがでしょうか。

お問い合わせは、図書館・南草津図書館へ