- 発行日 :
- 自治体名 : 滋賀県守山市
- 広報紙名 : 広報もりやま 令和7年11月15日号
■展示だけではない美術館の使命
佐川美術館
学芸員:深井 千尋(ふかいちひろ)
現在、佐川美術館は改修工事のため来年6月末まで長期休館しています。休館中はどんなことをしているの?とご質問を頂くことがありますが、美術館は作品を展示するだけでなく収集・保管する役割も担っており、休館中は特に収蔵品の保存・管理に注力しています。今回は、その取り組みの一部を紹介します。
収蔵品の「保存」において、休館中は作品のコンディションをチェックし、状態に応じて修復などの措置を講じる絶好の機会です。特に常時お客さまの目に触れる場所に設置されている野外彫刻は、メンテナンスのタイミングが難しく、休館中に日頃の掃除で落としきれない汚れを除去し、酸性雨や鳥のふんから保護するコーティングを施しています。
収蔵品の「管理」においては、作品のデータベースの整理や充実に取り組んでいます。図書館の蔵書と同じように、当館の収蔵品は絵画や彫刻といったジャンルごとに専用の管理番号が振られ、タイトル・作者・制作年・材質・技法などの基本情報がデータベースに登録されています。休館中は展覧会への出品歴や作品解説など詳細な情報を追加するほか、先述したコンディションチェックの結果に応じたデータ更新も行っています。
こうした収蔵品の保存・管理の成果は再開館後の展示に活(い)かされ、より良い状態の作品と詳しい情報を公開することにつながります。充実した内容の展覧会を開催できるよう準備を進めておりますので、リニューアルオープンを楽しみにお待ちください。
※佐川美術館は施設改修およびメンテナンスのため長期休館中です。
