くらし 特集 地域共生を考える ~“生きづらさ”に寄り添う地域のチカラ~(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 滋賀県甲賀市
- 広報紙名 : 広報こうか 2025年7月1日号
犯罪や非行をした人が、再び過ちを犯さないためには、その人自身が自らの過去と向き合い、罪を償って立ち直りのために努力することが必要ですが、立ち直ろうと努力する人を受け入れ、見守ることも必要です。
今回の特集では、立ち直ろうとする彼らを支えるために活動いただいている地域の方々を紹介します。
誰一人取り残さないまちづくり「地域共生社会の実現」のため、みなさんもできることから始めてみませんか。
■7月は「社会を明るくする運動」強調月間・再犯防止啓発月間です
・「社会を明るくする運動」ってどんな運動なの?
・犯罪のない明るい社会をみんなでめざす運動のことをいうんだよ
すべての国民が、犯罪や非行の防止と犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動で、今年で75回目を迎えます。
・詳しくはこちら(本紙QRコードよりご覧ください。)
◆日本の犯罪件数の約50%が再犯によるものです
国内で検挙された人のうち、約半数を過去に罪を犯した人が占めている現状があります。犯罪や非行をしたことで、社会の中で孤立し、それによって再び罪を犯すケースが後を絶ちません。
◆地域の協力で防げる犯罪・非行があります
犯罪や非行に陥る人を減らすためには、仕事、住居、福祉などの地域に根ざした支援が必要とされています。また、過ちを犯した人を地域の中に受け入れ、見守り、支える、地域に暮らす人たちの温かいまなざしが重要です。
■犯罪・非行をした人たちと向き合う 保護司(ほごし)
◆保護司とは?
犯罪・非行をした人が再び罪を犯すことがないよう、その立ち直りを地域で支えるボランティアです。法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員で、保護観察官などと協力し、対象者が地域社会の一員として生きていくためのサポートをしています。甲賀市では、33名の方に活動いただいています。
◆どんな活動をしているの?
◇保護観察
対象者と月に2回程度面談し、更生を図るための約束事を守るように指導したり、生活上の助言・就労支援などを行います。
◇生活環境調整
少年院・刑務所に収容されている人が、仮釈放後スムーズに社会復帰できるよう、帰住先の調査や就職先の確保などを行います。
◇犯罪・非行予防活動
犯罪・非行をした人の改善更生について、地域の方への理解を広めるため、「社会を明るくする運動」を通じて、街頭啓発などを行います。
活動拠点:甲賀保護区サポートセンター(みなくるプラザ内)、各地域の公民館 ほか
◆Interview 社会の一員として再出発する人たちの理解者でありたい
◇対象者との対話の時間を大切に
私たち保護司の役割は、犯罪・非行をした人たちをケアし、立ち直りをサポートすることです。少年院や刑務所から仮釈放された、また執行猶予などで保護観察処分を受けた人たちと月2回(1回30分程度)の面談を行い、生活の様子などを聞きながら、時には助言をしつつ立ち直りのサポートをしています。やっぱり、初めての面談の時は毎回緊張しますね。
面談をする時に気をつけているのは、メモを取らないこと。面談の内容は保護観察所へ報告しないといけないのですが、メモを取っていると事情聴取をしているような雰囲気になってしまうので、対象者が安心して話せるような環境を作っています。面談の際は、優しさを持ち、誰もが持っている良いところを掘り出せるように心がけています。
甲賀保護区保護司会 廣瀨 喜樹(ひろせ よしき)さん(左) 北林 榮一(きたばやし えいいち)さん(右)
◇更生した対象者を社会に送り出せることが一番の喜びです
自分が担当していた人がきちんと更生の道へ歩む姿を見られることが、一番やりがいを感じられる瞬間です。過去に担当していた人から、近況報告の連絡が来たときにはその人の成長に喜びを感じますね。対象者が社会の一員として再出発するためには、私たちだけではなく、地域で見守ること、受け入れることが必要です。「社会を明るくする運動」を通して少しでも地域のみなさんに理解していただけると嬉しく思います。
甲賀市の保護司会のみなさん