スポーツ [特集]宇治市観光大使 市長と語る 平野 佳寿 努力の先にあること。(1)

■[対談]宇治市長 松村 淳子(まつむら あつこ)×オリックス・バファローズ 平野 佳寿(ひらの よしひさ)投手
令和6年3月に宇治市観光大使に就任され、プロ野球チーム「オリックス・バファローズ」で投手として活躍されている、平野佳寿選手と松村市長の対談を行いました。
宇治市で育ち、現在2児の父親でもある平野選手に「努力を継続する大切さ」や「子育てや家族への思い」についてお話しいただきました。

▽プロフィール
平野 佳寿(ひらの よしひさ)選手
昭和59年生まれ。小倉小学校→北宇治中学校→府立鳥羽高校→京都産業大学
小学3年生で地元の学童軟式野球チーム「小倉リトルズ」へ入部し野球を始めた。中学から大学まで野球を続け、平成18年にオリックス・バファローズ入団。平成30年からメジャーリーグへ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス→シアトル・マリナーズ)。
令和3年からオリックス・バファローズに復帰。令和5年には日米通算250セーブを達成し、現在も現役として活躍中。

◆野球を始めたきっかけ
松村市長(以下、市長):平野選手は、日々の努力を積み重ねた結果、メジャーリーグでも活躍されるなどプロ野球選手として成功を収められています。本日は、平野選手に、努力を継続する大切さやご家族への思いなどについて、お話を伺いたいと思います。
平野選手の野球との出会いは、小学生の頃とお聞きしました。
平野佳寿さん(以下、平野):私が父と家の前でキャッチボールをしていて、それを見た友だちに誘われ、地元の野球チーム「小倉リトルズ」に3年生で入部したのがきっかけです。「小倉リトルズ」は、和気あいあいとした中に厳しさもあり、活気のあるチームという印象でした。自分はまだ野球のことを何も知らなかったので、圧倒されるというか「すごいな」と感じたことを覚えています。
市長:「小倉リトルズ」は、今も活発に活動されていますね。平野選手が小学生の頃と言いますと、ちょうど「Jリーグ」開幕のサッカーブーム真っただ中だったと思いますが、ご兄弟は野球をされていたのでしょうか。
平野:それぞれ3歳年のはなれた兄と弟がいるのですが、2人とも「Jリーグ」開幕の影響を受けて、野球ではなく、サッカーをしていました。そして、私も野球をしながら、休み時間はみんなでサッカーをするなど、実はサッカーの方が好きな時期もありましたね。
市長:当時は、子どもの間でもサッカー人気が急上昇した時期のように記憶しています。平野選手はそうしたブームの中でも、北宇治中学校では野球部に入部されたのですね。平野選手が所属されていたチームですから、野球部はとても強かったのではないですか。
平野:当時の北宇治中学校野球部は、市内で1位・2位を争うレベルではあったものの、山城地域の大会では上位の成績が残せず、京都府の大会にはなかなか出場できないチームでした。1年生の時は、今も恩師と尊敬する先生に、野球の基礎をみっちり教え込まれ、小学生の頃より練習量が増加し、厳しい指導に毎日ついていくのに必死でした。2年生の時に、顧問の先生が代わり、生徒主体の練習となりました。この時期に、自分で考えて練習をするようになり、自主性が育まれたと思います。
市長:厳しい練習を土台にしながら、自分で考える自主性を学ばれたことは、その後、平野選手がプロで長く活躍されていることにつながっているのではないでしょうか。
実は宇治市の職員に、北宇治中学校の平野さんの後輩で、当時バッテリーを組んでいた職員がいます。当時の平野さんの印象を聞いています。

・当時の平野選手の印象
上手い先輩方の中の一人と記憶しており、和気あいあいとしたチームの雰囲気の中、メリハリをもって取り組んでおられました。チームメイトとふざけ合うようなことがあっても、その後一人で黙々と走り込みをされていた姿が印象に残っています。

◆誰かが見てくれている
平野:私が真摯に取り組む姿を見てもらえていたのは、とても嬉しいです。当時、サッカー部の顧問の先生にも取り組む姿勢を褒めていただいたことがあって、非常に励みになりました。今の学生の皆さんにも「誰かが見てくれている」ということを意識して取り組んでほしいですし、何かを続けるためには大事なことだと思います。
市長:今の子どもたちはSNS上の言葉や周りの目を気にすることも多いと思いますが、そういった意味ではなく、温かく見守り応援している周りの大人の存在を意識することはとても大事ですよね。
宇治市内の野球場で、平野さんにとって思い入れのある球場はありますか。
平野:中学時代の試合は黄檗公園野球場で、小学校の頃の大会の決勝戦などは太陽が丘で行われていました。特に黄檗公園野球場は、中学時代の自分にとってのメイングラウンドとして記憶しているので、投手として何度も投げた球場として思い入れが深いです。
市長:黄檗公園野球場は、改修工事を行い、新しくなりました(改修後の黄檗公園野球場の様子を写真で紹介)。近年災害が激甚化する中、黄檗公園全体を防災拠点として整備を進めてきましたが、野球場はグラウンドやスコアボードなどの周辺整備も合わせて実施しています。
平野:実際に改修後の野球場は見たことはないのですが、見違えるほど素晴らしい球場になっていますね。
市長:野球場の人工芝の部分は、ヨガ会場として活用する等、野球以外でも地域の皆さんに楽しんでいただける場所となっています。
平野:野球以外でも、地域の人が利用できるのは良いですね。
市長:また、野球場の周辺では、萬福寺の法堂、大雄寶殿、天王殿の三棟が、昨年国宝に指定されました。萬福寺をはじめ野球場周辺には魅力ある場所がありますので、多くの方に訪れていただけたら嬉しいです。