くらし 〔特集〕オーガニックのまちにする

アユモドキからはじまる
亀岡オーガニックストーリー
すべての子どもたちに有機給食を
未来を変える農業が、ここにある。
希望に満ちた挑戦
オーガニックのまちにする
サステナアワード2024 生物多様性保全賞を受賞

絶滅危惧種の魚「アユモドキ」の保全活動から始まり、環境を守るために、オーガニック米や野菜の生産者が増え、今では小学校や保育所の給食にオーガニック米や野菜が導入されるまでになった亀岡市。その取り組みを動画にしたところ、環境省などが主催するサステナアワード2024において生物多様性保全賞を受賞。今回はその内容を紹介します。

■アユモドキの保全活動家、オーガニックを広める人、有機農家、有機農業学校の校長、子どもを持つ母親、そして亀岡市長など、さまざまな人々にインタビュー。なぜ亀岡市がオーガニックに力を入れるのか、その背景と想いを深く掘り下げます。

◇NPO法人 亀岡人と自然のネットワーク 仲田丞治(なかた じょうじ)さん
・川の生態系を象徴するアユモドキ
アユモドキは、日本固有の淡水魚で、国の天然記念物に指定されています。亀岡市では市の魚にも指定され、国内では亀岡市と岡山県の2カ所にしか生息していない、川の生態系を象徴する重要な生き物です。
アユモドキの生態は、稲作を中心とした農業と密接に関連しています。農地はアユモドキの生息に必要不可欠で、田植え時期には豊富な餌資源を提供してくれます。つまり、アユモドキは田んぼと切り離せない存在です。

◇株式会社 すずめファーム 上柿良平(うえがき りょうへい)さん
・子どもから家庭へ そして地域全体へ
環境保全への強い思いから有機農業の会社を立ち上げ、生物多様性や自然環境との調和を重視した農業を目指しています。亀岡市がオーガニックのまちづくりを推進していることも後押しとなり、特に、給食を通じて有機野菜の美味しさや安全性を広めることで、子どもたちから家庭へ、そして地域全体へと有機野菜の輪を広げていきたいと考えています。
より多くの人々に有機野菜を届けたいと考えています。

◇一般社団法人 亀岡オーガニックアクション 大江広一郎(おおえ ひろいちろう)さん
・給食利用で安定収入 良い循環が生み出される
亀岡駅北で米作りを始めたのは、アユモドキが生息していることが理由の一つです。有機農業で、環境負荷を低減することで、アユモドキにとって住みやすい環境を保てると考えました。
また、オーガニック米が普及することで、亀岡市全体でオーガニックへの意識が高まることを期待しています。特に、給食での利用は生産者の収入安定にもつながり、良い循環を生み出す可能性があります。

◇農事組合法人 大本 重野祐樹(しげの ゆうき)さん
・人と自然が調和した持続可能な社会を実現
化学肥料や農薬の使用は、本来の自然の生態系を壊して、土壌や水質を悪化させる要因になります。有機農業は、失われた自然のバランスを取り戻し、人と自然が調和した持続可能な社会を実現するための重要な手段です。
そして、広く普及することで、土壌の健全性が回復して、生物多様性が豊かになって、安全で安心な食料生産が可能になります。

◇亀岡オーガニック農業スクール 中村 新(なかむら あらた)さん
・有機農業の基本は土づくりから
有機農業への転身は、環境問題と食の安全への深い関心からでした。化学肥料に頼らない有機農業は、土壌の力を最大限に引き出し、水質浄化に大きく貢献します。
堆肥や有機肥料を用いた土づくりは、土壌構造を改善して、、農業排水や地下水への汚染物質の流出が抑制され、清らかな水が保たれます。

◇亀岡市在住 こどもを持つ母親 宮前利江子(みやまえ りえこ)さん
・オーガニック米や有機食材が給食で
子どもたちが小学校や保育所で亀岡産のオーガニック米や有機食材を使った給食を食べている現状は素晴らしいですね。それがどこで、誰によって作られているのかを意識する機会は少ないかもしれません。しかし、食育として給食に取り入れられることで、単に食事をするだけでなく、食に対する感謝の気持ちや、地域への愛着を育む上で非常に有意義な取り組みだと思います。

◇亀岡市長 桂川孝裕(かつらがわ たかひろ)
・オーガニックの取り組みが未来を創っていく
私たちが行っているオーガニックの取り組みは、アユモドキの保護にとどまらず、亀岡に生息するあらゆる生物の多様性を守り、育むことに繋がると考えています。そして、多様な生物が息づく豊かな自然を守り育てていくことこそが、私たちの使命であると思っています。
亀岡市はこれからも有機農業、そしてオーガニックを推進し、生物多様性をより確実なものにしながら、人と自然と、そして未来を創っていく、そんな取り組みにつなげていきたいと考えています。