- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府木津川市
- 広報紙名 : 【京都府木津川市】広報きづがわ 2025年4月号
■しわがれ声にご用心
豊田耳鼻咽喉科医院 豊田健司医師
声がれは、大きく2つに分類されます。
声を使いすぎたり、風邪をひいてのどが痛い時などにみられる声がれは、声帯に炎症を起こしているときに現れる症状で、4、5日声を出さずに安静にしていると元の声に戻ります。
もう一つは高齢者に見られる声がれ、いわゆるしわがれ声です。これは現役時代はよくしゃべっていたのに、リタイアして急に会話が減った人によくみられる症状です。声帯をみると、萎縮してたるみが顕著に認められます。しばらくしゃべってなくて、声を出そうとするとかすれて出ない、しゃべっているうちにわりと楽に会話できるようになるというのが特徴です。
しわがれ声自体はさほど問題になりませんが、この症状は誤嚥の初期症状です。最初は食事の時に間違って気管に入ってよくむせるようになります。進行すると食事が摂りづらくなり肺炎を併発します。いわゆる誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎の死亡率は、急性疾患の中で最も高く、20~40%に達します。高齢者にとっては命にかかわる病気で、高齢者の肺炎の7割以上が誤嚥性肺炎とされています。
こうならないようにするには日頃からよく声を出すことです。政治家やお坊さん、歌手、アナウンサーなど声をよく使う人は、年をとっても、しわがれ声にはなりません。1日に朝晩2回程度、3分ずつくらい大声を出すようにすると、声帯の萎縮を防ぐことが出来ます。大きな声で歌を1曲歌うのがいいでしょう。
最近声がかすれてきた、よくむせるようになってきたと感じたら、一度耳鼻咽喉科を受診してみてください。