- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府久御山町
- 広報紙名 : まちの総合情報紙 広報くみやま 令和7年6月1日号 No.1168
▼生きていくうえで欠かせないものだから
両親と3人で坊政・岡井農園を営む岡井良太さん。農業を営む傍ら、「きょうと食いく先生」として、こども園や小・中学校で子どもたちに野菜や農業のことを通じ、食の大切さを伝えている。
農家を継ぐ以前は、教師として東角小学校で教鞭をとっていた岡井さん。
「農業」・「食」に対する想いとは。
▽なくしたくなかった
「反対しかされませんでした」そう話すのは、10年間務めた教師を辞め、実家の坊政・岡井農園を継ぐ決心をした当時を振り返る岡井良太さん。いずれは農家を継ぎたいと考えていたといい、「せっかく周りから評価いただいている農家をなくしたくなかった。なくすくらいなら継ぎたいと思った」と当時の想いを話す。その他にも「自分が育った環境で自分の子どもを育てたいのもあった」とさまざまな要因が重なり、決心に至ったという。
坊政・岡井農園は、小松菜をメインに、季節に合わせて菊菜やルッコラ、空心菜などの葉物野菜を中心に生産している。栽培は化学肥料を使わず、油かすや卵殻などの食べ物からできている有機肥料を使用。特に小松菜は、甘みが強く味が濃いと評判で、百貨店や八百屋、スーパーなどに卸している。
▽無農薬だから美味しい?
「無農薬だから美味しい、有機栽培だから美味しいと安易に考えるのは違うと思うんです」と最近の消費者の動向を懸念し、「土に合った肥料を使っているのか、最終的に商品の味につながっているのか、それは食べて判断してもらいたい」と世間の風潮に流されず、自らの五感で選んで欲しいと話す。
▽農家は野菜を作っていない
「農家は野菜を作っている訳ではなく、商品を作っているんです。お金を出して買ってもらわないといけない。だからこそ質の高いものを作らないといけない。小松菜が美味しいと言ってもらえるのは父が積み上げてきたものだから。品質を保てるように、そして、さらに品質を上げられるようにしていきたい」と表情を引き締める。
▽子どもたちに食の大切さを
農業に加え、京都府認定の「きょうと食いく先生」として出前講座や収穫体験を通じ、子どもたちに食の大切さを伝えている。きょうと食いく先生は、もともと父の文彦さんが約20年間に渡り、子どもたちに野菜や農業に関することを教えていたこともあり、それを引き継ぐ形で活動している。
「教師を辞めて子どもたちと関わる気持ちが途切れた訳ではないんです。教師の経験と今の農業がつながって活動できていることはすごくいいなと思っています」と立場は変わっても子どもたちに大切なことを伝え続けている。
▽五感を育んで
「食は生きていくうえで欠かせないものじゃないですか。だからこそ、少しでも栄養価の高いもの、少しでも美味しいものを食べて、五感を育み、味の違いや自分にとって美味しいものを見つけられる人が1人でも増えてほしい」と食の未来を見つめ、「その中にうちの小松菜や野菜が入っていたらいいですね」と微笑む。
◇坊政・岡井農園で教えてもらった 小松菜を使った簡単レシピ
(1)小松菜とニンジンを食べやすい大きさに切り、耐熱ボウルに入れる
(2)(1)に水で戻したひじきを入れ、ラップをしてレンジで5分加熱する
(3)最後にツナ缶・サラダチキン・顆粒だし・ごま油・いりごまを入れ、よく混ぜて完成
小松菜などの緑黄色野菜に多く含まれるカルシウムは、タンパク質と一緒に食べると吸収率が上がり、緑黄色野菜に含まれるβカロテンは油と一緒に摂ると吸収率が上がります。
食材の栄養を無駄なく摂取できる工夫された一品です。