- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府伊根町
- 広報紙名 : 広報伊根 2025年2月号(第643号)
■「未来を生きる子どもたちへの授業改善」
本庄小学校 校長 田中晴彦
近年の社会変化を受け、学校では学習指導要領に基づく授業改善が求められています。
私は36年前に中学校教員としてスタートし、その後小学校教員となりました。これまで、部活動や教科指導において「子どもが分かる・できる」ことが自信につながり、将来に役立つと信じてきました。これまでの授業スタイルは、教師が黒板の前に立ち、児童・生徒が整然と着席し、規律を保ちながら「全員に分からせる、できるようにする」ことが中心でした。しかし、最近では、こうした「子どもが受け身となる授業スタイル」が大きく変わりつつあります。
では、なぜ子どもが受け身となる授業ではいけないのでしょうか。
それは、将来必要とされる「生きる力」を育むことが重要だからです。新しい技術が次々と登場し、社会が急速に変化する中、知識はPCやスマホで簡単に調べられる時代になりました。生成AIも登場し、瞬時に情報を得ることができます。このような時代を生きる子どもたちに求められるのは、受験のための知識の量ではありません。AIやロボットにはできない、人間ならではの発想力や、課題を見える化して問題解決する力が必要です。課題解決のためにどんな知識をどう活用するかを判断し、必要なら他者と協力し、最適な解を導き出す力が求められています。受け身ばかりの学び方では、このような力は身につきません。
私は、若い頃から「教師が教えて分からせる」という教師目線の指導を重視してきました。しかし、これからの教育では「子どもが自ら学び取る、教師はそれを支援する」という子ども目線の指導観への転換が不可欠です。もちろん、教師が分かりやすく教えることも大切ですが、未来を担う子どもたちには主体的に学ぶ力、自ら課題を見つけ、解決策を考える力が求められています。
授業では、子ども自身が何を学びたいのか目標をもち、友達と協力して対話的・協働的に課題に取り組むことが重要になります。子どもたちが主体的に学ぶ環境を整えるためには、興味を引く仕掛けを用意し、課題解決に向けた見通しをもたせることが大切です。そして、個別活動やグループ活動、全体での活動を組み合わせながら、子どもたちの発言を生かし、子ども同士の発言をつないで授業を進めます。最後に、自身の学びを振り返り、学んだ内容を定着させ、また、学び方の自己調整を図ります。このような授業展開によって深い学びを目指します。
そのために、1人1台のタブレット端末が有効な道具となります。調べたりまとめたり発表したりする場面で大いに役立ちます。教師自身も端末を持つことで児童・生徒の学習状況を把握し、適切な支援に活かすことができます。
このように、学校では教師主導の授業から「子どもが学ぶ主体」となる授業への転換が進行中です。家庭教育の参考としていただければ幸いです。