- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府高槻市
- 広報紙名 : 広報たかつき(たかつきDAYS) 令和7年6月号 No.1447
■森に囲まれたログハウスで、カフェをオープンできてラッキー!
ー[お菓子と森のカフェ forêt]は、周りを木々に囲まれたとても自然豊かな場所ですが、畑さんは、お店を開店する時、最初からこういう山深い場所でと考えていたんですか?
▽「いえ、初めは高槻か京都の街中で、小さくても自分の好きな世界を作れるお菓子屋さんができたらいいなぐらいに思っていました」
ーそれが、この場所でやるようになったのは、どういう経緯だったんですか?
▽「もともとこの場所は森林組合さんの直営店で、ここで開かれていた朝市に、自分の畑で育てた野菜を卸していて森林観光センターにはなじみがありました。出店場所を探しているタイミングで森林組合さんがにぎわいにつながる店舗を募集されると伺って、すぐに問い合わせました」
ー実際に選ばれて、ここで店がやれると決まった時の気持ちはどうでしたか?
▽「なんて運がいいんだ!と思いました(笑)。このログハウスがとてもステキで、家から近いし、山の中なのでわざわざ来てもらわないといけないけど、広々としたこういう建物のほうが、私の好きなことができるかもしれないとワクワクしましたね」
ー今住んでいらっしゃるのは、ここからも近い樫田地区の中畑ということですが、生まれもそうですか?
▽「はい、高校生まで中畑で育ちました。西宮の大学に入る時に家を出て都会で暮らし始めて、大学を出てからも神戸などで勤めていたので、約20年ほどここから離れていましたね」
■土を触ることで落ち着いて、畑がないと生きていけない。
ー都会で暮らしていた畑さんが、中畑にUターンされたのは、きっかけがあったのでしょうか?
▽「仕事がしんどくて精神的に辛い時期が続いていた時に、実家が兼業農家だったので、母が野菜をせっせと送ってくれていたんですよ。それを食べると、すごくおいしくて、涙が出ました。そして元気づけられたんです」
ー辛い時には、そういうふうに助けられるとありがたいですね。
▽「私は三人きょうだいなんですが、姉と弟も家を出ていて農業は継げない。なんとかしてこのおいしいものを残せないかという想いと、給料をもらうのではなく自立して成り立つような仕事をしたいという考えから、自分の性格とやりたいことを活かしながら、新しい道が開けないかと考えて、実家に戻ることにしました」
・「母が花を育てていて、私も花が好きで。リースも自分で作っています」と畑さん。
ー中畑に帰ってきて、まず何を始めましたか?
▽「毎日畑に出ていました。子どもの頃はイヤでイヤで畑などは全然手伝っていなかったんですけど、帰ってきて土を触ることで、こんなにも精神が落ちつくのか、畑仕事って、こんなに無心になれるのかと。畑も育てる農作物も何もしゃべらないのがいいのかもしれないし、自分が手をかけたことがちゃんと返ってくるのがいいのかもしれない。人間とは違う健気さ、謙虚さ、慎ましさが偉いなと思って。1年ぐらい中畑で暮らして、もう私、畑がないと生きていけないと思いました(笑)」
ー人生のよきパートナーとなったわけですね。畑ではどのようなものを作っているんですか?
▽「春と秋はホウレン草、小松菜、大根、ニンジンなど、一般的な野菜に加えてレタスが好きで、いろんな色、食感のレタスを作って、それを数種類合わせてサラダセットにして販売しています。夏はピーマン、ナス、トマト、ハラペーニョを作ったり、収穫したものでピクルスを作ったり。もちろんこれらの野菜はランチでも提供していますが、野菜を置くカフェというのが理想だったので、オープン当初から野菜も販売しています」
ーそうやって野菜やハーブを育てることから、次はそれを使ったお菓子作りへと進むわけですね。
▽「はい。私、お菓子を作るのが小さい頃から大好きで、小学校から帰ってきたら、家にある材料でお菓子を作って、みんなにふるまうということもしていました。でも、大学に行った頃からお菓子をピタッと作らなくなって。それでも勤め人時代にストレスが溜まってきたら、またお菓子を作るようになって。そういえば私、お菓子好きだったなあと。農業だけで生きていくのは結構大変なことだから、家で作った農作物、米、果物などを使ってお菓子を作ると、すごく楽しいんじゃないか、その楽しさをみなさんにも共有したいと思い、製菓の専門学校に通い始めました」