しごと #守口のものづくり人

■趣味も、仕事も、気の合う仲間と
趣味のロックバンドの傍らクラフトビール作りを手掛けている有本麦酒株式会社。今年8月に守口市へ工場を移転し、ふるさと納税返礼品の出品も予定しています。
ロックバンドとビール作りの関係性とは?なぜ守口市へ移転?など気になることを代表の有本さんに伺いました。

・有本麦酒株式会社
代表取締役 有本明久(ありもとあきひさ)さん(写真中央)

1950年生まれ。学生時代よりロックバンド「The Richard(ザ リチャード)」の活動を始め、1970年大阪万博のステージに出演。その後、家業を継ぐため一時音楽活動から離れるも、2010年にバンドを再結成し、日本各地でライブを行うなど精力的に活動。2017年、現在のバンドメンバーである安西信博(あんざいのぶひろ)さん(写真左)・桐山章(きりやまあきら)さん(写真右)とともに大阪市生野区で有本麦酒株式会社を設立し、クラフトビール製造をスタート。2025年8月、守口市内へ工場を移転。

◇「たまたま続き」で始めたビール作り
趣味のバンドの演奏依頼で島根県に行ったとき、とあるビール工房をたまたま見学させていただき、ビールはすごく簡単に作れるからやってみない?と誘われて、真に受けてしまったのがきっかけです。場所も、たまたま元食品工場の建物を倉庫として持っていて、ビール作りにちょうどいい大きさだったのでそこを使うことにしました。
でもいざ始めようとすると、税務署や保健所、水質検査などいろんな許可を取るための書類作りが一番大変で。さらに、ビール作り自体も全然簡単ではなく(笑)、あれこれ試行錯誤して失敗もしましたが、1年半くらいでやっと味が安定してきました。
また、工場の老朽化で移転先を探しているときに、「守口・門真ビール」製造のつながりで淀川製作所さんと知り合って、場所を貸していただくことになり、守口市へ移転してきました。全部きっかけは「たまたま」ですが、上手くマッチしてここまで来たんだと思います。

◇理想は「ゆっくり味わえる、何杯でも飲めるクラフトビール」
クラフトビールって一口目のインパクトがあり、一つ一つ個性がありますが、食べ物を邪魔しないような、飲みやすいあっさりとしたビールを目指しています。
日本の夏は暑くて、ビールは「喉ごし」を求められがちですが、海外のように涼しく爽やかな木陰でゆっくりワインのように味わえるビールが理想かなと思います。
現在はピルスナー・ブリュー・エール・スタウトの定番4種類に加えて、季節限定の味を作っています。今年は、ビール醸造の研修生が実家のサンショウを分けてくれたので、それでビールを作ってみたらとても好評でした。クラフトビールのフレーバーの組み合わせは実に何万通りにも及ぶので、守口の特産を生かした新しい味に挑戦したいですね。

◇趣味のバンド活動からつながった縁がビール作りにも
もともと学生時代からロックバンドで活動していて、1970年の大阪万博にも出演しました。ただ、そこで一旦音楽への思いは断ち切って、家業に専念しようと。他のメンバーもそれぞれ仕事をしていて、年1〜2回会う程度でしたが、15年ほど前に再結成しました。冗談で「次の万博まではやりたいよね」と言っていたら、出演させていただけることになってとてもうれしかったですね。

◇人生、ずっと学びと遊び
私たち3人とも高齢になってきたので、これから後継者も見つけながらやっていかないとという課題はありますが、「人生ずっと学びと遊び」がモットーなので、趣味も仕事も一生続けられるのはいいなと思っています。この町に暮らす皆さんに、私たちのビールで喜んでいただければうれしいです。

▽有本麦酒
場所:八雲中町1-13-6
工場が開いていればその場で購入できる場合もあります。

※詳しくは本紙またはPDF版をご覧ください。