- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府寝屋川市
- 広報紙名 : 広報ねやがわ 令和7年9月号
■島に暮らして25年
「石垣島の海が仕事場です」
フィッシングガイド
井戸 巌也(いど みちや)さん(52歳)
朝は釣り客を沖合のポイントに案内し、夕方にはカヤックに乗り換えて夕日が沈む海に漕ぎ出します。ここは沖縄の石垣島(石垣市)。「海が私の仕事場です」と笑います。
◇西表島でのアルバイトがきっかけ 27歳で釣り船のオーナーに
小学生の夏休みに父親とよく海釣りに出かけ、中学生になるとブラックバス釣りに熱中。釣り好きが高じて27歳のときに石垣島で釣り船のオーナーになりました。
きっかけはその2年前のこと。同じ八重山諸島の西表島で経験した釣りガイドのアルバイトでした。「お客様を釣り場に案内するために小型船舶操縦免許を取り、大物を釣り上げて歓喜する姿にやりがいを感じました」と話し、「ガイドの仕事がしたい」と石垣島に移住。釣具店を開くために貯めていた開業資金で小型船を購入し、「フィッシングガイド サブトロピカル」を開業しました。
◇国内有数の釣りスポット 当初は集客に苦労
石垣島の近海は「本マグロやカジキ、カンパチなど大型の種類が多く、いろいろな釣り方ができるのが魅力です」。国内有数の釣りスポットで知られ、片道2~3時間の海域へ足を延ばすこともあります。
しかし、ガイドを始めた当時はインターネットが普及し始めた頃で、知り合いもなく集客に苦労。サトウキビの収穫や出稼ぎでやり繰りし、「軌道に乗り始めたのは5年ほどしてからです。それまでは遊んだり、テレビを見たりする時間もありませんでした」と振り返ります。
◇オレンジ色の絶景に感動 夜のカヤック専門店開業
それでも釣り船だけでは生活が安定せず、次に目を付けたのがカヤックでした。石垣島では天然記念物のマングローブ林をカヌーで巡る昼のツアーが人気でしたが、カヤックで何度か夕方の海に出たことがありました。
〝マジックアワー〟と呼ばれる夕日が沈む時間帯に空や海がオレンジ色に染まる景色と満天の星をカヤックから眺め、「これだ!」と思いました。夕方と夜の専門店「カヤックガイドグロースター」を開いたのは38歳のとき。「石垣島では初めて」という試みが当たり、カメラの趣味を生かした幻想的な景色をバックに撮る記念写真も評判となりました。
島暮らしは今年で丸25年。釣り船は大型船に乗り換え、2艇だったカヤックは14艇に増えました。心がけているのは安全第一。「特にカヤックツアーの参加者は子どもから年配の方までと幅広く、多くが初心者。できる限り足が届く浅い海辺で楽しんでもらっています」と気を引き締めます。
◆私とふるさと
市立第五小学校、第六中学校に通い、府立東寝屋川高校(現・府立北かわち皐が丘高校)に入学。大学に入るまで寝屋川市に住んでいました。思い出は高校、大学で続けた陸上で、種目は100m。部活で鍛えた体力と精神力のおかげで、これまでいろいろな困難も乗り越えることができました。
最近は年に1度帰省。市内の様子は随分変わりましたが、昭和の面影が残り、友人も多いので、実家に帰るとやっぱり落ち着きます。