- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府大東市
- 広報紙名 : 広報「だいとう」 2025年9月号
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■他者への理解を深める中で気づく「自分らしさ」
近頃「多様性」という言葉がよく使われるようになったと感じませんか。他者の「個性」を理解することだけでなく「自分らしさ」についても改めて考えるきっかけとして次の話を紹介します。
◇学ぶ中で見えてくる、自分らしさ
大河ドラマ「風林火山」の題字を書いた、書道家柿沼康二さんが毎日続けていることがあります。それは弘法大師空海の書の「臨書」です。「臨書」は手本となる古典を見ながらその通りに書き写す、書道の稽古法の一つです。しかし、偉大な書道家がいくら稽古を重ねても空海の書を完璧に書き写すことはできません。柿沼さんはこのように考えています。「必死で向き合ったり、悩んだりした末に生まれた結果に『劣っている』『不足している』と落ち込む必要はない。似せられないその違いこそ、尊重するべき自分の『個性』と捉える。憧れや学びをきっかけに、自分と他人を比べて時には悩みながらも、あえて他人の『個性』に没する、いわば『没個性』の中、自分自身と深く向き合うことで気付ける『自分らしさ』がある。」
◇悩むことも前向きなプロセス
誰もが発信者になれる現代では、日々多くの魅力的なコンテンツが生み出されています。それらは目標や憧れとなって、日々の活力となる一方で、対象と自身を比べ失望したり、弱気になったりする人もいるでしょう。ここで柿沼さんの言葉を借りれば、まさにそんな時こそ「没個性」の最中。自分自身と深く向き合う中で感じた気持ちや悩みは、つらく厳しいものかもしれませんが、自分らしさに出会うための大切なプロセスなのではないでしょうか。