文化 養父市出身画家の切り絵本 戦後80年の節目に復刊

6月、養父市出身の画家、故寺尾知文さんの著作「きり絵画文集原爆ヒロシマ」が43年ぶりに再版。後押しとなったのは、神戸市の市民団体「ヒロシマを語り継ぐ会」が同作を基に制作した朗読作品でした。80年前、兵庫県も空襲に見舞われました。この機会に改めて平和について考えてみませんか。
(取材・文 県民だより編集部)

同作は、救援のため被爆直後の広島市内に入った寺尾さんが、その時に見た凄惨(せいさん)な光景を描いた切り絵集。迫力ある72枚の切り絵と克明な文章が心に響く一冊です。2017(平成29)年に本の存在を知った「ヒロシマを語り継ぐ会」は以降、神戸市で原画のパネル展や朗読劇を実施。昨年6月には、朗読劇をさらに進化させた映像作品をYouTubeにアップしました。この作品が再版を検討していた出版社の目に留まり、「こんなに熱心に活動する人たちがいる。やはり再版すべき」と具体化。約1年後に復刊を遂げたのです。同団体の代表、浅海和子さんと映像作品で朗読を担当した芦屋市の前田伊都子さんは「次世代に引き継ぐべき本。80年前、広島や神戸が戦禍に巻き込まれたことを知るきっかけにしてもらえれば」と口をそろえます。

問合せ:(株)潮書房光人新社
【電話】03-6281-9891【FAX】03-6281-9893