- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県宝塚市
- 広報紙名 : 広報たからづか 2025年4月号No.1334
■血液の病気の検査と治療
副院長 清水 義文
大阪大学卒業後、同大学第三内科、西宮市立中央病院にて研修、大阪大学医学部大学院、東京大学医科学研究所附属病院内科勤務を経て米国留学。血液内科の診療と、リンパ球の分化や造血幹細胞の研究を行う。帰国後は、日生病院、市立東大阪医療センターにて血液内科と一般内科の診療を担当し、2009年に当院に赴任。日本血液学会専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医・指導医
血液には、白血球・赤血球・血小板の3つの細胞があり、古くなった細胞は新しく作られた細胞と絶えず入れ替わり一定の数を維持しています。この3種類の細胞は造血幹細胞という大本(おおもと)の細胞からいくつもの段階を経て作られます。この仕組みに異常をきたした場合や、白血球の種類の一つであるリンパ球の異常により起こる病気が血液の病気です。血液のがんには、白血病、悪性リンパ腫(しゅ)、多発性骨髄腫の3つがあり、がん以外の病気では、貧血(赤血球減少)、血小板減少症などがあります。血液内科はこれらの病気の診断と治療を行う診療科です。
検査は、血液検査が主ですが、時には骨髄検査が必要となります。骨髄とは骨の中の柔らかい組織で、血液細胞を作る場所です。検査の時は、うつ伏せになって、腰の骨の出っ張ったところに局所麻酔をして針を刺し、骨髄液を少量採取します。外来で1時間以内で終わる検査です。リンパ球のがんである悪性リンパ腫の診断には、腫れているリンパ節を切除して調べる「リンパ節生検」を行います。こちらは腫れている部位により他科と連携し、短期入院となる場合があります。
急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫は、抗がん剤がよく効くタイプのがんに分類されています。実際、血液のがんで一番多いびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫では、約6割の患者さんが抗がん剤だけで治癒しています。特に、多発性骨髄腫については、近年新薬が続々と登場しており、長期生存を目指せるようになりました。また最近は、体内のTリンパ球ががん細胞を攻撃できるようにするCAR-T細胞療法や、二重特異性抗体療法などの免疫療法が保険診療で行えるようになりました。CAR-T細胞療法や同種造血幹細胞移植が必要な場合は、兵庫医科大学病院や県立尼崎総合医療センターと連携しながら治療を行っています。
健康診断で白血球、赤血球、血小板の数に異常がある場合は、かかりつけ医にご相談の上、紹介状を持って当院へお越しください。
■市広報番組「知ってよ!宝塚」で当院人工関節センターについて配信中
手術、リハビリなど人工関節センターでの治療の流れをYouTubeで詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
■エフエム宝塚(83.5MHz)「市立病院の得した気分!」
日時:4月16日(水)10時半~11時
(再)4月20日(日)19時半~20時
■がんサロン「セキレイ」(対面式とZoomの同時開催)
がん患者同士の不安や悩み、体験を話す交流の場です。
日時:4月16日(水)15時~15時45分
場所:がん診療支援センター(現地参加は予約不要。開始10分前までに直接会場へ)
対象者:がん治療中の人とその家族(当院を受診していない人でも参加可)
問合せ:同センター
【電話】87・1161
問合せ:市立病院
【電話】87・1161【FAX】87・5624