子育て 〔特集1〕対談「9年間で育む学びと未来」市長・教育長・校長が語る、小中一貫教育(1)

子どもたちの学びと成長を、切れ目なく支えるために進められている小中一貫教育。今回は、市長、教育長、そして実践推進校である小学校・中学校の校長の4名が集まり、その目的や現場での工夫、子どもたちの変化、これからの展望などについて語り合いました。

■市長の教育への思いは?
◇仲田市長
これからの時代は、今の国際社会の中で生き抜く力が大切だと思っています。また、年長者を敬う気持ちをはじめ、素直な心、自尊心をしっかり持った子どもたちに育ってほしいと願っています。そのためには「知・徳・体」のバランスが取れた人間教育というものが重要です。
また、教育は子どもたちのためだけではなく、まちづくりにもつながります。一度は進学や就職で三木を離れた人が、子育ての時期になったときに「三木に帰って教育を受けさせたい」と思えるような環境を整えていくことが、まちの将来を考える上でも重要だと思っています。そのためには、働く場の確保とあわせて、教育の充実が不可欠です。
市ではその一つとして小中一貫教育を進めており、まずは吉川地区において令和12年度の開校を目標に施設一体型小中一貫校の整備を計画しています。さらに、経済的な理由などで学びに差が出ないよう学習支援事業である「寺子屋みき」を、市内2カ所で実施しています。こうした取組は、子どもたち一人一人が安心して学べる環境を整え、将来の可能性を広げることにもつながると考えています。
繰り返しになりますが、まずは人として誠実であること。その上で国際社会に羽ばたいていける子どもたちが、三木から育っていってほしいという思いを強く持っています。

「教育は市政の柱。誠実に生き、国際社会に羽ばたいてほしい」
三木市長
仲田一彦

■小中一貫教育の目的とは?
◇大北教育長
義務教育は9年間続くものですが、これまで小学校6年間と中学校3年間で区切られてきました。子どもの成長に区切りはなく、一人一人に合わせて適切な教育を進めるために、小中一貫教育は非常に効果があると考えています。
目的は大きく3つあります。1つ目は小学校から中学校への接続を円滑にすることです。例えば「小中ギャップ」の解消です。小学校から中学校へ進む際、環境の変化や学習内容の難しさからストレスを感じ、不登校などにつながることがあります。これを少しでも和らげたいと思っています。
2つ目は、人との関わりを広げることです。少子化や核家族化が進む中で、子どもたちの人間関係が固定されがちです。小中一貫教育により、幅広く先生や仲間と出会い、年上の姿を見て憧れたり、学んだりしながら成長できる環境がつくられます。
3つ目は、教育内容や学習活動の質と量を高めることです。小学校と中学校では指導の文化や考え方が異なりますが、それぞれの良さを融合させることで、義務教育9年間の全体像を共有できます。めざす15歳の姿を見据えて教育を進められるようになる点が大きなメリットだと思っています。
現在先行して実践している別所・吉川の両小・中学校での成果をもとに全市へと広げていきたいと考えています。小中一貫教育は子どもたちの未来を育むと同時に、学校や地域の可能性を広げていく取組でもあります。

「小中一貫教育は〝生きる力〞を育むための手段」
三木市教育長
大北由美

■小中一貫教育とは?
義務教育の9年間を通して、子どもの成長に合わせた一体的な教育を行う仕組みです。
小学校と中学校を区切らずに見通すことで、子どもたちが安心して学び続けられる環境づくりに取り組むとともに未来を生き抜く力(主体性・協働性・創造力)を育みます。

◇主体性
・自ら判断し、課題を見つけ、解決する力

◇協働性
・多様な他者を尊重し、ともに生きていく力

◇創造力
・学びを活用し、新たな価値を生み出していく力

■実践推進校とは?
小中一貫教育を先行して実践し、取組の成果や課題を全市に広げていく役割を持つ学校です。現在、市では別所小・中学校と吉川小・中学校を実践推進校に指定し、さまざまな取組を進めています。

・市の取組はこちら
※本紙二次元コードよりご覧ください。

問合せ:(市)小中一貫教育推進室