健康 〔特集2〕北播磨総合医療センター「最先端医療とチーム力で地域の健康を守る(1)」

北播磨の中核病院として平成25年に開院し、地域の医療を支えてきた北播磨総合医療センター。本特集では、健康管理センター、心臓血管外科、内視鏡センターの医師・看護師に、北播磨総合医療センターならではの強みや最先端医療について話を聞きました。

■〔予防医療の最前線へ〕健康管理センター
◇健康づくりの第一歩は「知ること」から
健康は、日々の暮らしを支える大切な基盤です。健康管理センターでは、生活習慣病やがんの早期発見に重点をおいた人間ドックや町ぐるみ健診など予防医療を推進しています。全ての人間ドックコースにはオプション検査を追加でき、自分に合った検査を受けることができます。
また、最新の医療機器を備え、各科の専門医が連携して丁寧に診断・説明を行う万全の医療体制で支えています。精密検査や治療が必要になった場合も、センター内での情報共有により疾患の発見から治療までの導線が極めて短く、迅速な対応が可能です。また、一人一人のかかりつけ医を把握し、地域の先生方との連携も大切にしています。

▽小さながんも発見できる!
一度の検査で全身を詳しく調べることができる最先端医療機器 「PET-CT」を導入しています。どこにどのようながんがあるのかを把握することができ、小さながんの早期発見、良性・悪性の鑑別、転移や再発の有無の確認などに大きな力を発揮します。
さらに、身体への負担が少なく、短時間で精度の高い診断が行えるのも大きな特徴です。

■「時間軸」を大切にする
健康管理センターでは、健康を「時間軸で診る」ことを大切にしています。単発的な結果は、あくまで「そのときの状態」にすぎません。そのため、患者さんの過去の状態をしっかり把握するために丁寧な問診をしています。
北播磨総合医療センターには、三木市民病院・小野市民病院の時代からの検査データが引き継がれています。市民病院時代から通っている方であれば、当時の画像と比較しながら「以前になかった影が見えますね」といったより正確な評価が可能です。

■専門医につなぐ確かな安心
異常が見つかった場合には、迅速に専門医へ引き継ぎます。専門の診療科と連携し、過去のデータも含めて精査します。これは、当医療センター内で人間ドックを実施しているからこそできる強みです。
さらに、一般的な人間ドックでは、結果が郵送で届き、紙の結果表を眺めるだけということも多いですが、当医療センターでは、検査終了後その日のうちに医師が画像を示しながら直接説明します。紙の結果表だけでは伝わらない微妙なニュアンスや変化を丁寧に伝えることができ、受診者の信頼を得ています。

北播磨総合医療センター副院長
総合内科・老年内科部長
健康管理センター長
安友佳朗医師

■生活の中でほんの少しの健康意識を
人間ドックや町ぐるみ健診の結果で血圧やコレステロールなどの数値が高くても「いつも高いから大丈夫」と受診をためらう方は少なくありません。
だからこそ、私たちは健診を受けた後のアプローチが非常に重要だと感じています。一人一人、仕事や子育て、介護などそれぞれ生活の背景があります。その人の生活を否定するのではなく、生活の中で少しでも健康に近づけるポイントを一緒に探していきます。保健指導の時間を通して、自分の生活を振り返り、「ちょっと頑張ってみようかな」と前向きな気持ちになってもらえるよう受診者に寄り添っています。

看護部次長(アドバンス助産師)
健康管理センター副センター長
中井英子さん

◇健診後も寄り添う万全のフォロー体制!
健康管理センターでは徹底的な精度管理を行っています。「要治療」「要検査」などの結果をそのまま放置することがないよう、健診後3カ月を目安に通知を送付し、受診誘導を促すことで迅速な治療につなげています。こうした精度管理や丁寧な問診・説明、保健指導などが評価され、「健診施設機能評価認定」を取得しました。
さらに、脳疾患の予防と早期発見、認知機能検査も実施できる施設として、日本脳ドック学会から「脳ドック認定施設」にも認定されています。

「北播磨圏域で唯一!」脳ドック認定施設 健診施設機能評価認定 取得!

■〔最先端技術で挑む!〕心臓血管外科
心臓血管外科では、身体への負担が少ないMICS(低侵襲心臓手術)に積極的に取り組んでいます。令和6年の症例数は、県内1位。全国的にも有数の多さを誇ります。患者さんにとって「最善の治療とは何か」を追求し、最適な医療を提供します。

◆小さな傷で心臓を救う
MICS(低侵襲心臓手術)とは、従来の胸部を大きく切開する手術とは異なり、小さな傷で心臓手術を行う方法です。当医療センターでは、令和3年に3D内視鏡MICSを導入しました。
心臓手術を可能とする精密な3D内視鏡により、立体的で鮮明な画像を見ながら、まるで実際の心臓を直視しているかのような繊細かつ正確な手術が実現できるようになりました。従来の正中切開では困難だった手術が可能となり、幅広い症例に対応しています。導入以降、症例数は年々増加し、県内トップの実績を誇ります。

▽3D内視鏡MICSの特徴
・身体の負担が少なく、退院や社会復帰が早い(術後1週間程度で退院)
・わずか3センチほどの小さな傷で、手術痕が目立ちにくく、術後の痛みが少ない
・感染リスクが軽減され、縦隔炎という重大な合併症を回避できる
・3D内視鏡により視野が拡大され、繊細かつ正確な手術が可能

◆最先端技術の治療が北播磨にはある
現時点で全国的にも限られた施設のみで実施されているMICS手術。従来の心臓手術は執刀医しか手術箇所を見ることができませんでしたが、3D内視鏡MICSは手術箇所をモニターに映し出すので、全員に共有することができます。そのため、外科医、麻酔科医、技士、看護師など全員の技術向上につながっています。また、患者さんにとっても、血管や神経の損傷リスクが軽減されるなどのメリットがあります。
今後も最先端技術を駆使し、安全かつ確実な手術を提供できるよう、技術や知識を磨き続けます。

▽世界トップレベルの技術で命を救う!
正中切開では難しかった心臓手術も3D内視鏡MICSでは可能になりました。これにより、さまざまな要因で手術を受けられなかった患者さんにも、新たな選択肢を提供できるようになりました。しかし、外科手術である以上すべての患者さんが望んだ結果を得られるわけではありません。だからこそ、私たちは今後もチーム一丸となって研さんを続け、最善の治療を提供します。

心臓血管外科部長
重症虚血肢センター長
山田章貴医師

▽医療界の発展に!
3D内視鏡MICSは、術後の負担が小さいことから、県外からも多くの患者さんに選ばれています。今後も3D内視鏡MICSの素晴らしい恩恵をたくさんの患者さんに届けていくとともに医療界の発展にもつなげていきたいと考えています。
日々の生活では、血圧の管理と適度な運動など生活習慣に気を配り、健康を守っていただきたいと思います。

外科診療部長
心臓血管外科部長
森本喜久医師

問合せ:北播磨総合医療センター
【電話】88-8800