くらし 人権一口メモ No.277

◆社会におけるこどもの人権
本年度の住民学習会で活用していただく人権啓発映画「あなたのいる庭」を紹介します。この映画のテーマは、「社会におけるこどもの人権~こどもが安心して暮らせる社会の実現をめざして~」です。
この映画の主人公の和佳奈は、阪神・淡路大震災で夫と幼い娘を亡くし、心を閉ざしたまま生きていました。しかし、児童養護施設・のじぎく園で暮らす実結(16)と冷央(9)やケアリーバー(※後述)である松下との交流を経て、前向きに生きようと変容していく姿が描かれています。また、実結も安心して接することができる大人(和佳奈)の存在に救われ、自分を大切にし、夢をもって生きようとする姿も同時に描かれています。
社会には、虐待や貧困、死別などさまざまな理由で保護者と暮らせず、児童養護施設など社会的養護のもとで暮らしているこどもたち、そして社会的養護から自立したが、家族からのサポートを得られずに生きる人たち(ケアリーバー)がいます。社会的養護の現状や実態を知る人は少なく、世間からの無理解と偏見にさらされ、居場所を見い出せず、進学や就職など生きる上でさまざまな困難に直面している現状があります。令和6年4月から施行された改正児童福祉法では、ケアリーバーの実態を把握し、「自立」のために必要な援助を行うことが都道府県の行わなければならない業務として位置付けられました。ケアリーバーは施設などを離れ、家族からの支援が見込めず、入所施設などとのつながりも薄れていく中で、退所後の生活に困難を抱えている場合が少なくありません。
この作品をご覧いただくことで、社会的養護下のこどもやケアリーバーの現状、実態を知ることができます。「誰もが互いの人権を尊重する中で、それぞれの自己実現の達成へ向け歩んでいける社会」について考える機会としていただけたらと思います。
そして、次代の社会を担うこどもたちが自分らしく幸せに成長でき、暮らせるように、社会全体で支えていけるよう努めたいですね。

問合せ:社会教育課