くらし 議会だより 令和7年 第3回 山添村議会定例会の結果(3)

■一般質問と答弁の要旨
質問と答弁を要約して掲載しています。

〔質問〕藤田和子 議員
▽義務教育学校について
義務教育学校は、全国的に増加傾向にあり、本村でも2027年に開校予定である。そこでお尋ねする。
1.義務教育学校にする意義をどのように考えておられるか。
2.何を根拠にこどもの学年段階を4-3-2制に変えるのか。
3.地域や学校の特性を活かした新しい教科を設置することも検討課題であるが、どんな取組みを考えておられるか。
4.小学校の跡地をどのようにしようと考えておられるか。

〔答弁〕池住 教育長
義務教育学校にする意義について、本村の学校教育は、「確かな学力」、「豊かな人間性」、「健やかな体」を身につけ、ふるさと山添に夢や誇りをもった、輝く子どもたちの育成をめざしている。児童生徒数は減少しており、子どもたちは多様な考えに触れる機会が少なくなってしまうなど、学びに様々な弊害が生じることが危惧される中、小学校、中学校の教職員が一体となって9年間を通じた系統的な教育を行うことで、学年を超えた集団での豊かな学びを実現できると考えている。小学校の学習では定着できなかった内容を中学校で補うこと、その逆など独自のカリキュラムを組むことができる。特に先生方の専門性を活かし、小学校課程から教科担任制を導入することで教育内容の質を向上させるなど、学ぶ側にとっては大きなメリットであると考える。また、学校現場では長年同じ子どもたちを見ることができるため、子ども一人ひとりの個性を把握し伸ばしやすくなると考える。
次に、義務教育の9年間を4年・3年・2年の3つの区切りで分けることは、学校教育法で定められた制度ではないが、9年間を通した系統的な教育がより効果的なものとなるよう区切りごとに具体的な目標等を定め、児童生徒の学習のつまずきを解消し、発達段階に合わせた教育を行うことを目的としている。1年生からの4年間は学習や生活リズムをしっかりと身に付け、基礎的・基本的な知識や技能の習得と定着を図り、次のステップへの土台作りを目指す。5年生から7年生ではそれまでに学んだことを活用し、子どもたちが学習や様々な活動に積極的に取組み、自己成長を実感させ、学ぶよろこびを育むことで、それまでの学びをさらに深化、発展させる。この時期は環境の変化に適応できず不登校や学力不振に陥るなどの学習と生活の両面で不適応を起こす子ども達も多く、中1ギャップとも言われているが、小学6年と中学1年の段差をなめらかな接続にすることで解消しようとする3年間でもある。そして、8年9年生は個性や能力を十分に伸ばし充実した主体的な進路選択とその実現、学校全体の諸活動のリーダーシップの育成を進める。9年間の区切り方を現在の子どもの発達に合わせ、系統性のある教育活動を行うために実施する。
次に、地域や学校の特性を生かした新しい教科の取組みについて、軸となる考え方は、つながりや広がりをキーワードに、たくさんの人と人、人とものが出会い、交われるような、山添ならではの学び、結(ゆい)プロジェクトを核にする。結というのは、農村社会に古くからある慣行で、みんなで助け合って作業をやり遂げるというものである。このプロジェクトは探究的な見方・考え方を働かせ、山添の人、もの、ことに関わる総合的な学習を通して、目的や根拠を明らかにしながら課題を解決し、自己の生き方を考えることができるようにするための学習である。現在の小学校でのやまぞえタイム、ふるさと学習、中学校でのYIPを更に発展し、各学年段階でどんな内容を実施するのかを全体でマネジメントし、1年から9年生までの一貫ある内容を今後具体的に進めたいと考えている。山添の良さを見つめ直し、未来につなげていこうとする、学びの実現をめざしていく。
最後に、小学校の跡地については、校舎を含み有効活用を検討するため、民間事業者から広く意見や提案を求め、活用の可能性を把握していこうと考えている。行政だけでは思いつかないような民間事業者ならではのアイデアやノウハウを収集できるかもしれない。ただ、建物や地盤の経年経過による状況もふまえた上で、新たに募集できるのか、解体の方向に進むのかを検討していこうと考えている。