- 発行日 :
- 自治体名 : 奈良県三宅町
- 広報紙名 : 広報みやけ 令和7年6月号
■奈良県医師会より
◆膵臓がん
膵臓は、胃の後ろにあり、幅3~4cm、長さ15cmぐらいの細長い臓器で2つの働きをしています。食べ物の消化を助ける消化液である膵液を出し、膵管を通じて十二指腸(じゅうにしちょう)に排出する機能と、血糖を調節するインスリンなどの各種ホルモンを作る機能があります。
膵臓にできる膵臓がんは、主に膵管から発生しますが、大きさが小さい時では症状が出にくく、また小さくても転移しやすいため、進行した状態で見つかることが多い、予後の悪い怖いがんとして知られています。
膵臓がんは近年増加傾向にあり、年間約4万5000人の方が膵臓がんと診断されていて、これは約3000人に1人が膵臓がんになるという頻度です。
がんが膵臓内にとどまり、かつリンパ節への転移がない病期のステージIでは、5年生存率は約40~60%です。しかし約半数の方が進行転移した状態であるステージIVで診断され、5年生存率はわずか1%台であるため、がんの早期発見がとても重要です。
膵臓がんは、特定の自覚症状がないため早期発見が難しい病気で、進行すると、食欲不振、お腹が張る感じ、腹痛・背中の痛み、黄疸、体重減少などが起こり、糖尿病の血糖値が悪化して診断されることもあります。
診断は、膵(すい)酵素(こうそ)、腫瘍(しゅよう)マーカーを含む血液検査、超音波検査、内視鏡・画像検査で診断しますが、最初の画像検査は体への負担の少ない腹部超音波が有用です。
膵臓がんになりやすい危険因子は、50歳以上・肥満・喫煙・大量飲酒・糖尿病・膵臓がんの家族歴・慢性膵炎・膵のう胞などがあり注意が必要で、危険因子を持つ方も含め、膵臓がんの早期発見のためには定期的に検査をすることが重要です。
◆ポリファーマシーにご注意を!~お薬との正しい付き合い方~
ポリファーマシーとは、複数の薬を同時に服用することで、副作用などの問題が生じる状態を指し、一般的にその数は5~6種類以上とされています。高齢になると、さまざまな病気にかかりやすくなり、その結果、飲む薬の種類が増えることがあります。しかし、薬が増えることで、体に悪い影響が出ることもあります。
○ポリファーマシーが引き起こす問題
多くの薬を飲むことで、以下のような問題が起こる可能性があります。
・副作用の増加
薬同士が影響し合い、思わぬ副作用が出ることがあります。
・飲み間違い
薬の種類が多いと、飲み忘れや間違って飲むことが増えます。
・医療費の増加
必要以上の薬を使うことで、医療費が高くなることがあります。
○ポリファーマシーを防ぐためにできること
ポリファーマシーを防ぐために、以下のことに気をつけましょう。
(1)お薬手帳を活用する
自分が飲んでいる薬の情報を1冊にまとめ、病院や薬局に行くときは必ず持って行きましょう。これにより、医師や薬剤師が適切な薬の管理をしやすくなります。
(2)かかりつけ医や薬剤師を持つ
信頼できる医師や薬剤師に、自分の健康状態や薬のことを相談できる環境を作りましょう。
(3)自己判断で薬をやめない
体調が良くなったからといって、自分の判断で薬をやめたり減らしたりしないようにしましょう。必ず医師や薬剤師に相談してください。
○まとめ
薬は、正しく使えば健康を守る強い味方です。しかし、たくさんの薬を飲むことで、逆に健康を害することもあります。自分の薬のことをきちんと把握し、医師や薬剤師としっかりコミュニケーションをとることで、ポリファーマシーを防ぎ、健康な生活を送りましょう。
問合せ:【電話】0744-22-8502