文化 金剛峯寺の門を彩る美と実用を兼ね備えた伝統の金具たち
- 1/23
- 次の記事
- 発行日 :
- 自治体名 : 和歌山県高野町
- 広報紙名 : 広報高野 令和7年8月号
日本仏教の聖地「金剛峯寺」のお坊さんのおはなし
高野山の中心に佇む金剛峯寺。その壮麗な門には、日本の伝統建築に欠かせない「金具(かなぐ)」が数多く施されています。皆さんは、この金具の存在に注目されたことはありますか?実はこれらの金具は単なる装飾ではなく、実用性と美しさを兼ね備えた重要な役割を果たしているのです。
(1)框金具(かまちかなぐ)
まずご紹介するのは、扉の面や縁に取り付けられている「框金具」。これは、扉の形状を保ち、強度を高めるための補強金具です。同時に、美しく整った外観を演出することで、建物全体に品格と格式を与えています。
(2)錺金具(かざりかなぐ)
錺金具とは、装飾を目的とした金具のこと。実用的な役割を持ちながらも、その華やかな意匠が目を引きます。細部にまで込められた職人の技が、寺院建築の美を支えているのです。
■会下門(えかもん)の見どころ
金剛峯寺の東側に位置する「会下門」にも、見事な錺金具が取り付けられています。
(3)八双金物(はっそうかなもの)
門の扉の吊元部分を補強する「八双金物」。扉をしっかり支えるための大切な構造部分です。
(4)乳金物(ちかなもの)
釘隠しとして使用される「乳金物(または饅頭金物(まんじゅうかなもの))」。細やかな意匠が施され、細部にまで美を追求する日本の建築文化を感じることができます。
※詳細は本紙をご覧下さい。
■金具の素材と色の変化
これらの金具は、主に銅や真鍮(しんちゅう)で作られています。年月を経て表面に現れる「緑青(ろくしょう)」は、銅の表面に発生する錆(さび)。時間とともに深みを増し、歴史を感じさせる趣ある色合いを生み出します。
以上いかがでしたか?金剛峯寺の門に使われている金具には、機能性、芸術性、そして歴史的価値が込められています。金剛峯寺を訪れる際は、ぜひ門の細部にも注目してみてください。伝統文化と職人の技、その奥深さを感じ取ることができるはずです。
問合せ:高野山真言宗 総本山 金剛峯寺
【電話】0736-56-2012