- 発行日 :
- 自治体名 : 鳥取県鳥取市
- 広報紙名 : とっとり市報 令和7年9月号
みんなでつないだ君の未来が、彩りあるものでありますように
■さばみの成長日記
※詳しくは本紙P.3をご覧ください。
■保健所は今、命をつなぐ場所に
かつて、保健所では犬や猫の殺処分を行っていたため、保健所は今でも「命が終わる場所」であると思っている人が少なくはありません。
平成24年に「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正され、「引き取った犬猫の返還・譲渡の推進、殺処分率の更なる減少」を目指すことが定められました。鳥取市保健所では、殺処分は極力行わない方針としており、可能な限りの治療と、愛情をもったお世話により、新しい家族へつなぐ取り組みを行っています。命の終点であったこの場所は、出発点へと変わっています。
殺処分率と譲渡率の推移
出典:鳥取県の犬及び猫の動物愛護等に関するデータ(令和5年度)
◇譲渡やイベント情報を発信しています
※詳しくは本紙P.3をご覧ください。
■犬や猫との暮らしを楽しんでほしい
のすけ犬猫往診専門病院院長(元:たなか動物病院院長)
田中 博二(たなか ひろじ)さん
市内で動物病院を経営する傍ら、市が行っている地域猫の不妊去勢手術を指導したことをきっかけに、市と協力して、人と動物の共生に取り組んできました。頑張っている個人や団体に対して、役に立てたらという思いで今も活動しています。
◇病院で感じたこと
動物病院には、捨てられていた猫を拾い、連れてこられる人がいます。命を助けたいという純粋な思いからの行動だとは分かっていますが、動物病院だからといって、全員に無償で協力することは難しく、その事実を伝えると怒って帰られることもあります。
みなさんに考えてほしいのは、拾った後のことです。「拾ったから後はお願いします」ではなく、その先をどうするかまで考えてもらいたいです。
ただ、そもそも捨てる人がいることが大問題です。捨てる理由の1つが多頭飼育崩壊です。不妊去勢手術をせずに、気づくと20、30匹と増えてしまって飼えなくなる。多頭飼育をされている猫で、幸せそうな子はあまり見ません。生まれてからどうしようではなく、生まれないようにすることを考えてほしいです。
◇今後に向けて
今、ひとつ夢があるんですよ。鳥取市に動物愛護センターができれば、そこで今はボランティアたちが自費でやっている治療などをしてあげたい。犬猫を譲渡するだけではなく、犬が噛むなどの理由で捨てられないようにするためのしつけ教室や、動物に関する情報発信コーナーがある、動物愛護の拠点となる愛護センターを作っていけるといいですね。
■不幸な野良猫がいない社会へ
鳥取市譲渡ボランティア・トリマー
小谷 由香(こだに ゆか)さんと柴犬 きなこちゃん
3年ほど前から、賀露地区で「地域猫活動」に取り組んでいます。これまでに100匹以上の野良猫の不妊去勢手術に携わりました。現在は、保健所の犬を一時的に預かる活動にも取り組んでいます。
◇地域猫活動
活動のきっかけは、10年前、数匹の野良猫に餌をやったこと。しかし、繁殖により一気に数が増えて、どうしたらよいか分からずとても辛かった。そんな時、TNRという言葉を知りました。当時は全て自費でかなりの負担でしたが、現在は市の補助金や事業を活用して、以前より負担は軽くなっています。
活動の中で、「あなたが餌をやるから野良猫が増える」と心無い言葉を言われることがあります。しかし、地域猫活動は地区住民の同意のうえで、決められた場所で餌を与え、来た猫に不妊去勢手術を行うものです。猫のためであり、同時に人の生活環境のためでもあると伝わってほしいです。
◇今後に向けて
餌やりをしている人には、「一緒に地域猫活動をしませんか」と声をかけたいです。行政には金銭面のサポートや、活動の周知をしてもらえたら、私自身も活動を続けやすいし、周りに声もかけやすいですね。しかし最終的には、野良猫が全てさくら猫になり、私のようなボランティアの必要がなくなるような社会になってほしいです。