- 発行日 :
- 自治体名 : 鳥取県南部町
- 広報紙名 : 広報なんぶ 2025年11月号
■アキノキリンソウ
○アキノと名はつけど
日本の在来種、アキノキリンソウ。南部町では涼しくなってから咲き始める秋の植物ですが、地域によっては8月から開花するところもあります。しかも、2019年12月28日には天萬の龍門寺で花がまだ残っていたこともありました。「秋の」を意味する「アキノ」の冠が付いていますが、結構振り幅が広い開花期間を持つようです。そして、世界的な分布も広く、ユーラシア大陸各国で自生し多くの変種があり、海の近くから標高2000m級の山地まで幅広の垂直分布が見られます。丈は30〜80cmくらい、1つの花の大きさ1.5~2cmとやや控えめな出立ちのアキノキリンソウですが、思いの他たくましい草本ですね。
○でも外来種には弱い?
町内で、アキノキリンソウを見かけるのは、城山公園や小松谷城跡、長田神社や手間要害山など、帰化植物の勢力の影響があまり大きくない場所という印象があります。林縁まで草刈りがされていて、明るい場所で、他の在来種も一緒に生えているような環境です。逆に、住宅地や役場周辺などで生えていたら、とても驚くかもしれません。近縁種で同じキク科アキノキリンソウ属であるセイタカアワダチソウの方が大きくて目立って、川土手や空き地などで普通に見られます。ちなみに、アキノキリンソウの別名はアワダチソウです。
○食べられる!
調べてみて、また発見がありました。これまでアキノキリンソウとは花を楽しむお付き合いだけでしたが、何とハーブティーにも利用できて、若い葉は食用として味わえるとのこと。そして、漢方薬としても生薬名があり「一枝黄花(いっしおうか)」と呼ばれ、整腸剤や風邪薬などの効果があるとされています。1本立ちで、葉の柄の部分に「翼(よく)」があることが識別点ですが、見分ける自信がない方は、安易に摘んで食したりしないように注意しましょう。河川敷の優先種となっているセイタカアワダチソウが、北米でネイティブアメリカンの万能薬として使われていたことと重なります。この秋、黄色い花を探してみると、意外と近場に小さなアワダチソウが風に揺れているかもしれませんよ。
自然観察指導員 桐原真希
