くらし 「こどもまんなかアクション」リレーシンポジウムin松江(2)

■テーマ1 こどもの『非認知能力』を育む、松江ならではの遊び場・環境とは?
岩田:実は正直なところ、『非認知能力』という言葉を理解していませんでした。例えば学校の勉強のように数字や成績で計れるようなものではない、そういう能力を総称しているという理解でよろしいでしょうか?

てぃ先生:総称すると、多分『生きる力』みたいな話だなと思うんです。松江みたいな場所って、非認知能力を育てるのに適している場所だと思います。なぜかと言うと、僕が先ほど言った生きる力を少し説きほどいていくと予定調和ではない、体験経験の積み重ねっていう風に僕は思っているんです。予定調和をこどもたちに落とし込んでみると、やっぱり松江みたいな自然豊かな場所っていうことだと思います。例えば部屋の中などでも非認知能力を伸ばすことは可能だと思いますが、やっぱり外に出ると予定調和ではないことってたくさん起きますよね。砂場で遊んでる時に水を山から流そうと思ったら全然違う方に流れていっちゃったとか。そういう予定調和ではないことが起きた時に、じゃあどうしようかって。その『どうしようか』も解決する方向で進む場合もあれば、水がこっちに流れていっちゃった、予定とは違うけど、それはそれで面白いじゃんという方に行くのも僕は生きる力、楽しめる力だと思います。最近、ゲームでこどもの能力を伸ばせます、みたいな主張をよく見かけていて、もちろんそういう面もあるかもしれないですが、やっぱり外に出ないと培えないものが予定調和ではない経験の貴重さだと思います。

佐藤:非認知能力は、目に見えない、数値にも表せないということで運動面から言うと『感覚』だと思うんです。例えば、皆さんここまで歩いてきたと思います。小さい頃からの積み重ねで歩くという能力を勝手に身につけて何も考えずに歩いていますよね。これも非認知能力だと思うんです。そういった自分たちで実体験を繰り返すことによって歩くという能力が勝手に身についたり。刃物を持った人がいる、逃げなきゃっていうときの距離感もそう。いろんなところに感覚っていうものがあるので、いろんなところで非認知能力につながってくるんじゃないかなって思いながらこどもたちに伝えています。日頃からの運動遊びの積み重ねで勝手に自分の体を守れる。みんなでダンゴムシやりましょうって言いながらゴロンとして起き上がったり、その積み重ねで自然と転んだ時にコロンと背中を丸くして頭を守れるとか。そういうのも全部実体験の積み重ねの感覚の入れ方だと思うので、僕はそういう風に思いながら運動遊びの指導をしています。

岩田:遊んだ時にはたまには擦り傷とかできるけど、それも経験のうちですね。

佐藤:小さい怪我は大きな怪我の予防だと思っていて、今、いきなり骨折するこどもがいますよね。そういうこどもは人との距離感とか感覚が身についていないから大きな怪我に繋がっていくんじゃないかなって思います。

市長:私たちの親の世代は、宍道湖や中海で泳いだり釣りをしたりして遊んでいたんです。でも、こどもの頃の私にとって宍道湖は、「遊び場」ではなく「夕日が綺麗な写真映えスポット」でした。そこで今、宍道湖を「遊び場」にする計画を進めています。その一環として、宍道湖の南岸から嫁ヶ島まで歩いて渡れるイベントを年1回開催しているんです。こどもたちは、浮き輪をつけ手綱を引っ張って渡りながら、宍道湖の深さや湖畔の生き物を知ることができます。
宍道湖の北側では、国土交通省とともに『ちゃぷちゃぷ広場』の造成も進めています。「ちゃぷちゃぷ」できる親水空間を作って、浅瀬に寝そべったり水鉄砲で遊んだり魚や貝を捕まえたり、宍道湖を「遊び場」として使い倒して欲しいんです。
そうした経験を経て、松江に育ててもらったなぁという思いが培われ、自分のこどももここで育てたいとか、育ててもらった松江に恩返ししたいといった気持ちが芽生えるのではないかと思います。故郷に誇りを抱くことが定住やUターンを促進し、人口減少に歯止めをかけることにもつながると確信しています。
また、松江を良くしたいという志やチャレンジ精神を持つ地元出身者が集まれば、『松江なら新しいことにトライできる』という風土が生まれ、もともとご縁のなかった人もこの地を目指してくれるのではないかと。これからも、こどもたちが「誇れるまち」「夢を実現できるまち」を目指して取り組んでいきます。

安里:非認知能力ということにかけて言えば、机に座っての勉強以外の体験をすることで、世界が広がるなと思います。その体験は自然の中での1人の体験もあるでしょうし、人と人との関係もあると思います。色々行ける場所があって居場所の数が多い方が、自己肯定感も高かったり、将来に対する希望を持っている人の割合が高いというデータがあります。家が居場所だからいいじゃないか、学校が居場所だからいいじゃないかではなく、家にも学校にも居場所があって、さらに地域にも居場所がある方がメンタルの安定にもつながっているということが見えてきているので、幸せになる力を育む意味でも、こども家庭庁は、居場所づくりを頑張っています。従来型の居場所だと行政が建物を建てました、で終わりになっちゃうと思うんですけど、地域でこども会をやっているとか身近な公園で時々誰かがイベントをしてくれているとか。ちゃぷちゃぷ広場も、もしかしたら行ったら常に誰かが居て、そこでお話ができるってなったら100点満点だと思います。市長がおっしゃったように、地域に愛着を持ってる人がいたら、その地域が元気になっていくなっていうのが見えるんですよね。で、愛着を育むためにも、その愛着を感じるような場所があると、地域への愛が育まれていくと思うので、ちゃぷちゃぷ広場づくりは正解の事業だなって思います。